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怪獣生物学入門

インターナショナル新書 043

出版社名 集英社インターナショナル
出版年月 2019年10月
ISBNコード 978-4-7976-8043-0
4-7976-8043-1
税込価格 968円
頁数・縦 254P 18cm

商品内容

要旨

ゴジラ、ガメラ、マタンゴ、ドゴラ、『寄生獣』のパラサイトなどなど、怪獣たちは日本のSFを牽引し、最近では海外での評価も高まっている。その一方で、怪獣たちは荒唐無稽な作り物のように思われてはいないか。怪獣とはどのような生物なのか?その形態や劇中の設定、登場人物たちの台詞などを手がかりに、生物学的な視点で徹底的に考察していく。そこから見えてきたのは、科学とSFを繋ぐ新たな発見だった。

目次

第1章 恐竜と怪獣の狭間(取り残されたゴジラ―進化形態学者のぼやき怪獣映画論
恐竜とモンスターの分岐)
第2章 日本怪獣学各論(怪獣に通常兵器はなぜ効かない
ビオランテにみる「女性」 ほか)
第3章 進化形態学的怪獣学概論―脊椎動物型怪獣の可能性(ゴジラの歯についての考察
怪獣映画におけるスケール問題 ほか)
第4章 進化形態学的怪獣論―不定形モンスター類の生物学的考察(マタンゴが食べたい
それでもマタンゴが食べたい ほか)
第5章 ウルトラ怪獣形態学―比較形態学と進化的考察(エリマキ怪獣の系譜
ケンタウルス型怪獣の系譜 ほか)

おすすめコメント

怪獣とはどんな生物なのか? 怪獣ファン長年の未解決問題に生物学の第一人者が真正面から挑む!   ゴジラ、ガメラ、マタンゴ、ドゴラ、ウルトラ怪獣、(『寄生獣』の)パラサイト……。日本では自由な発想のもと、さまざまな怪獣が無数に創造されてきた。 この怪獣たちをSF的発想と科学の視点から多角的に考察していくと、「荒唐無稽」と一蹴できない発見が次々と浮上してくる。   ――(本書「はじめに」より)   怪獣はつまるところ、我々の知る生物科学の基礎の上に立った動物のヴァリエーション、ありえたかもしれない架空の「新種」なのだ。ならば、それは想像の上で解剖することもできようし、その怪獣が進化してきた道筋を考えることもできようし、それを通じてゴジラのような動物がなぜ現実には存在しないのか、できないのかをも理解できるであろう。こういったことは科学的にちゃんとした思考実験なのである。  むろん、「こんなのあり得ない」といった事柄に出くわすことは多い。生物学的変容や進化的多様性にはさまざまな限界が付きまとうが、人間の想像力はそこからある程度は逸脱することもできるのだ。だからこそ、怪獣と呼ばれる異形の生物を夢想できるのである。   ――(目次より抜粋) 第一章 日本怪獣学各論 怪獣に通常兵器はなぜ効かない/「オルガナイザーG1」とは何か?/英理加の問題/ゴジラの花嫁?/ハリウッド版キングギドラに関する形態学的考察/ギャオスのゲノム/ガメラの作り方に関する仮説 第二章 恐竜と怪獣の狭間 取り残されたゴジラ/恐竜のイメージ/変貌する恐竜とモンスター/不思議な恐竜映画の世界/地球空洞説と地底世界/夢の地底獣国/「ロスト・ワールド」のゴジラ 第三章 進化形態学的怪獣学概論 ―脊椎動物型怪獣の可能性― 歯並びの進化/ゲノムエンジニアリング/「スケール問題」の問題/SFにおける「ウソ」/進化のキャパシティ/進化の方向性と限界から見た怪獣のサイズ 第四章 進化形態学的怪獣論 ―不定形モンスターの生物学的考察― マタンゴ化の進化生物学的意義/マタンゴ人間の行動学/マタンゴにおける霊魂の在処/寄生獣世界/パラサイトの個体性と生物学/寄生獣の個体性と生物学/ドゴラのデザインの起原/ドゴラの生物学 第五章 ウルトラ怪獣形態学 ―比較形態学と進化的考察― エリマキ怪獣の系譜/ケンタウルス型怪獣の系譜/セミ人間/1/8計画

著者紹介

倉谷 滋 (クラタニ シゲル)  
形態進化生物学者。国立研究開発法人理化学研究所開拓研究本部主任研究員。1958年、大阪府生まれ。京都大学大学院理学研究科修了、理学博士。琉球大学医学部助手、ベイラー医科大学助教授などを経て、1994年、熊本大学医学部助教授。2002年より理化学研究所チームリーダー、2005年、同グループディレクター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)