• 本

それでもあなたを「赦す」と言う 黒人差別が引き起こした教会銃乱射事件

亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ 3−11

出版社名 亜紀書房
出版年月 2020年8月
ISBNコード 978-4-7505-1653-0
4-7505-1653-8
税込価格 2,750円
頁数・縦 453P 図版16P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 「赦す」という静かで苛烈な戦い方を、私たちはできるだろうか。

     度重なる銃によるヘイトクライムと、それに抗する人々の怒りは、アメリカ社会において日々衝突を繰り返し、激しさを増しています。
     本書は、2015年6月に起こったチャールストン教会銃乱射事件とその後の裁判を丹念に取材し、その真相と、犯人と遺族たちの内心に迫った地元記者による調査報道の労作。
     ウェブのフィルターバブルとエコーチェンバーのなかでひたすら人種差別思想を先鋭化させ、ついには黒人9人を射殺した白人青年。そのあまりに理不尽な犯行に対して、しかし何人もの遺族たちは「あなたを赦します」と語ります。
     到底「赦す」ことなどできないはずの凶行を、それでも赦すと宣言する。その内心の激しい葛藤を、本書は克明に描き出します。
     分断と憎しみ、暴力が火の手のように広がり、人間性を失っていく社会の真っ只中、当事者として、「赦す」ということは人としての尊厳を賭けた苛烈な戦いなのだと考えさせられます。
     

    (2020年8月27日)

商品内容

要旨

アメリカ南部・チャールストンの由緒ある黒人教会で、その晩も聖書勉強会が開かれていた。飛び入り参加を装い現れた白人男性が、突然出席者に向けて銃を乱射。十二名の黒人信徒のうち九名が死亡した。犯人は白人至上主義者のひきこもり青年。インターネットで仕入れた差別思想に影響を受けての凶行だった。「国を乗っ取っている黒人」たちとの人種戦争を起こすために、世間にもっとも衝撃をあたえられそうな人々(教会に集う善き人々)を狙い実行された大量殺人事件。その背景に横たわるアメリカにおける黒人差別の根深い歴史、遺族たちの葛藤、そして信仰の力とは―

目次

第1部 邪悪な存在と目が合った(いばらの中に蒔かれた種
訪問者
隠れていたのは ほか)
第2部 癒しを求めて(死の騒がしい沈黙
見知らぬ人々の善意
「聖書を取り戻したい」 ほか)
第3部 真相が明るみに出る(善き人々の沈黙
一年後
通常営業 ほか)

著者紹介

ホーズ,ジェニファー・ベリー (ホーズ,ジェニファーベリー)   Hawes,Jennifer Berry
米国サウスカロライナ州チャールストン在住。ルーズベルト大学シカゴ校卒業。ピュリッツァー賞受賞の地元紙「ポスト・アンド・クーリエ」で十年以上記事を執筆。現在は同紙調査報道のプロジェクトチームに所属。1944年に死刑となったアフリカ系アメリカ人少年の冤罪と真犯人が裕福な白人男性であることを示唆する記事で、自身も2019年のピュリッツァー賞最終候補にノミネートされる。他にジョージ・ポルク賞、ナショナル・ヘッドライナー賞、トラウマに関する優良な報道に贈られるダート賞など受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)