心淋(うらさび)し川
出版社名 | 集英社 |
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出版年月 | 2020年9月 |
ISBNコード |
978-4-08-771727-3
(4-08-771727-5) |
税込価格 | 1,760円 |
頁数・縦 | 242P 19cm |
書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件
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心淋し川
- おすすめ度
- ほんのいえ宮脇書店越谷店 (埼玉県越谷市)
第164回直木賞受賞作。練られた時代小説連作6編である。話しは江戸の根津、千駄木あたりの長屋が舞台。時代物を渇望していた読者はもちろん、時代物デビューにも自信をもっておすすめできる一作だ。物静かな展開の中で、ちょっと心を締めつけられるような切なさに揺さぶられる。西條奈加の作品にはハズレなしともいわれていたが、あらためて作品へ引き込まれてしまう魅力を感じた。受賞してますます目が離せなくなった。
(2021年3月15日)
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商品内容
文学賞情報 |
2020年
第164回
直木賞受賞 |
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要旨 |
不美人な妾ばかりを囲う六兵衛。その一人、先行きに不安を覚えていたりきは、六兵衛が持ち込んだ張形に、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして…(「閨仏」)。飯屋を営む与吾蔵は、根津権現で小さな女の子の唄を耳にする。それは、かつて手酷く捨てた女が口にしていた珍しい唄だった。もしや己の子ではと声をかけるが―(「はじめましょ」)他、全六編。生きる喜びと哀しみが織りなす、渾身の時代小説。第164回直木賞受賞。 |
出版社・メーカーコメント
第164回直木三十五賞受賞作 「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、六兵衛が持ち込んだ張形をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。裏長屋で飯屋を営む与吾蔵は、仕入れ帰りに立ち寄る根津権現で、小さな唄声を聞く。かつて、荒れた日々を過ごしていた与吾蔵が手酷く捨ててしまった女がよく口にしていた、珍しい唄だった。唄声の主は小さな女の子供。思わず声をかけた与吾蔵だったが――(「はじめましょ」)ほか全六話。生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。