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国家の「余白」 メコンデルタ生き残りの社会史

地域研究叢書 42

出版社名 京都大学学術出版会
出版年月 2021年2月
ISBNコード 978-4-8140-0309-9
4-8140-0309-9
税込価格 4,730円
頁数・縦 558P 23cm

商品内容

文学賞情報

2022年 第38回 大平正芳記念賞受賞
2022年 第43回 発展途上国研究奨励賞受賞
2022年 第43回 アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞受賞

要旨

豊かな自然と世界有数の農業生産を誇り、大都市からも近く、いまはクルーズ観光が人気のメコンデルタ。しかしここは20世紀最大の動乱の舞台でもある。いくつもの国家が、統計・分類、文書化、マッピング、暴力を用いてこの地域の人々を捕捉しようとした。しかし、そうすればするほど動乱が拡大する。民族的混淆、流動する人・モノ・情報、闇市や徴兵忌避の寺院等々、デルタ社会の生態歴史文化的特徴のなか「国家の介入しにくい空間」が如何に作られるのか、そのメカニズムを詳細な民族誌で解き明かす。

目次

序論(国家の「余白」―メコンデルタ 生き残りの社会史
生き残り策から問い直す動乱
混淆的な他民族社会)
第1部 国家の周縁から「余白」へ(紛争と移動―多民族社会の生成
脱植民地化過程における言語・仏教・帰属)
第2部 戦時下での生き残り(戦時国家による地域社会の再編
二つの政治権力の狭間で
戦時下における不可侵の秩序空間)
第3部 社会主義改造下での生き残り(社会主義改造による地域社会の再編
社会主義改造下のローカルな秩序
生き残り策としての越境)
第4部 過去を踏まえて現在を生きる人々(二一世紀のクメール人越境者とベトナム国家
混淆的な多民族社会における差異の認識
秩序が紡ぎ出される場としての「余白」)

著者紹介

下條 尚志 (シモジョウ ヒサシ)  
1984年東京都生まれ。2007年慶應義塾大学経済学部卒。2015年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(地域研究)。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科研究員(2015〜2016年)、京都大学東南アジア地域研究研究所機関研究員(2016〜2017年)を経て、2017年より静岡県立大学大学院国際関係学研究科助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)