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実力も運のうち 能力主義は正義か?

出版社名 早川書房
出版年月 2021年4月
ISBNコード 978-4-15-210016-0
4-15-210016-8
税込価格 2,420円
頁数・縦 376P 20cm

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要旨

パンデミックの対策には、国民など共同体のメンバー間の「連帯」が必要とされる。だが世界では、数年前からさまざまな「分断」が広がる傾向にある。とくに米国では、ごく一部に富が集中し、「取り残された人々」がポピュリストであるトランプ大統領を当選させるなどの現象が生じた。分断の原因は何なのだろうか。本書では、ベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)などで人気を博したハーバード大学哲学教授が、「努力と才能次第で誰でも成功できる」という能力主義(メリトクラシー)が、「勝者」と「敗者」の間の深刻な分断と対立の原因になっていることを指摘。それに米国の高等教育がどのように関わっているか、分断を解消し、より良い共同体を作っていくにはどうしたらいいのかを詳しく論じている。能力主義的な考え方が広がる米国では、「大学の学位を持たない白人」が、偏見と侮蔑の対象になることで労働の誇りを失っており、それが社会に分断による歪みをもたらしているという。著者のマイケル・サンデル氏は、1953年生まれのハーバード大学教授。専門は政治哲学で、コミュニタリアニズム(共同体主義)の代表的論者として知られる。講義の名手としても知られ、日本ではNHK教育テレビ(現Eテレ)『ハーバード白熱教室』で有名になった。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2021年5月28日]

商品内容

要旨

「努力と才能で、人は誰でも成功できる」この考え方に潜む問題が見抜けますか?100万部突破『これからの「正義」の話をしよう』から11年―格差と分断の根源に斬りこむ、ハーバード大学哲学教授の新たなる主著。

目次

序論―入学すること
第1章 勝者と敗者
第2章 「偉大なのは善良だから」―能力の道徳の簡単な歴史
第3章 出世のレトリック
第4章 学歴偏重主義―何より受け入れがたい偏見
第5章 成功の倫理学
第6章 選別装置
第7章 労働を承認する
結論―能力と共通善

出版社・メーカーコメント

出自に関係なく、人は自らの努力と才能で成功できる――能力主義(メリトクラシー)の夢は残酷な自己責任論と表裏一体であり、「勝者」と「敗者」の間に未曾有の分断をもたらしている。この難題に解決策はあるのか? ハーバード大の超人気教授の新たなる主著

著者紹介

サンデル,マイケル (サンデル,マイケル)   Sandel,Michael J.
1953年生まれ。ハーバード大学教授。専門は政治哲学。ブランダイス大学を卒業後、オックスフォード大学にて博士号取得。2002年から2005年にかけて大統領生命倫理評議会委員。1980年代のリベラル=コミュニタリアン論争で脚光を浴びて以来、コミュニタリアニズム(共同体主義)の代表的論者として知られる。類まれなる講義の名手としても著名で、中でもハーバード大学の学部科目“Justice(正義)”は延べ14,000人を超す履修者数を記録。あまりの人気ぶりに、同大は建学以来初めて講義を一般公開することを決定。日本ではNHK教育テレビ(現Eテレ)で『ハーバード白熱教室』(全12回)として放送されている。著書『これからの「正義」の話をしよう』は世界各国で大ベストセラーとなり、日本でも累計100万部を突破した。2018年10月、スペインの皇太子が主催するアストゥリアス皇太子賞の社会科学部門を受賞した
鬼澤 忍 (オニザワ シノブ)  
翻訳家。1963年生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。埼玉大学大学院文化科学研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)