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南極の氷に何が起きているか 気候変動と氷床の科学

中公新書 2672

出版社名 中央公論新社
出版年月 2021年11月
ISBNコード 978-4-12-102672-9
4-12-102672-1
税込価格 946円
頁数・縦 197P 18cm

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要旨

地球温暖化によって南極の氷が融けて海面が上昇し、陸地の一部が海に沈むというリスクは、以前から多くの人に信じられている。一方で今後は南極での積雪が増えて氷が厚くなるので、むしろ海面上昇を抑える、という説もある。実際、南極で何が起きているのか。そして将来どんなことが起こりうるのだろうか。本書では、最新の観測データや研究成果をもとに、近年、南極大陸を覆う厚い氷(氷床)に起きている「急激な変化」とその原因、地球環境への影響など、現在明らかになっている事実や推測を詳しく解説。IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)の報告では、南極の氷が失われ、それが原因となり今世紀末までに2メートル海面が上昇する可能性も示されている。直近の研究によると、南極の氷が失われるのは温暖化で氷の表面が融けるからではなく、海に流出する氷の量の増加が原因なのだという。著者は北海道大学低温科学研究所教授。博士(地球環境科学)。信越化学工業で光通信用デバイスの研究開発に従事した後、青年海外協力隊に参加。その後、スイス連邦工科大学研究員等を経て現職。南極や北極グリーンランド、パタゴニアをはじめとする氷床・氷河の大規模調査を主導。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2021年12月21日]

商品内容

文学賞情報

2022年 第38回 講談社科学出版賞(旧・講談社出版文化賞・科学出版賞)受賞

要旨

日本の面積の約40倍に及ぶ“地球最大の氷”こと南極氷床。極寒の環境は温暖化の影響を受けにくいと言われてきたが、近年の研究で急速に氷が失われつつある事実が明らかになった。大規模な氷床融解によって、今世紀中に2メートルも海面が上昇するという「最悪のシナリオ」も唱えられている。不安は現実のものとなるか。危機を回避するためにすべきことは。氷床研究の第一人者が、謎多き「氷の大陸」の実態を解き明かす。

目次

第1章 「地球最大の氷」の実像―南極氷床の基礎知識
第2章 南極の氷の変化をどう知るか―IPCC報告書から最新の観測手法まで
第3章 崩壊する棚氷、加速する氷河―いま「氷の大陸」で何が起きているか
第4章 南極の異変は私たちに何をもたらすか―氷床融解が地球環境に与えるインパクト
第5章 気候変動と地球の未来―一〇〇年後の氷床変動シミュレーション
終章 そして、私たちは何をすべきか―“最悪のシナリオ”vs.科学と社会の力

出版社・メーカーコメント

温暖化がもたらした「地球最大の氷」の異変。大規模な氷床融解は現実に起きているのか。「氷の大陸」が水と化したとき、海面上昇が私たちの暮らしに与える影響は。現地調査と最先端科学から、謎多き南極のリアルに迫る。

著者紹介

杉山 慎 (スギヤマ シン)  
1969年愛知県生まれ。博士(地球環境科学)。93年大阪大学大学院基礎工学研究科修士課程修了。93〜97年、信越化学工業で光通信用デバイスの研究開発に従事。97年より2年間、青年海外協力隊に参加し、ザンビア共和国の高等学校で理数科教員を務める。2003年北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程修了。スイス連邦工科大学研究員、北海道大学低温科学研究所講師、同准教授を経て、17年より同教授。南極や北極グリーンランド、パタゴニアをはじめとする氷床・氷河の大規模調査を主導(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)