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カルマン 行為と罪過と身振りについて

出版社名 みすず書房
出版年月 2022年7月
ISBNコード 978-4-622-09525-5
4-622-09525-4
税込価格 4,620円
頁数・縦 156,8P 20cm

商品内容

要旨

タントラ仏教では真我は踊り手である。多種多様な姿態のすべてを顕示する「世界劇場の演技者」だ。目的と意志の固着を解いた「純粋な手段」の政治を求めて。

目次

第1章 カウサとクルパ
第2章 クリーメンとカルマン
第3章 意志のアポリア
第4章 行為を超えて

出版社・メーカーコメント

「カルマン」というサンスクリットは漢訳仏典では「業(ごう)」と訳される。この「カルマン」と「制裁しうる人間の行為」を指すラテン語の「クリーメン」とは近接した関係にある。さらに、人間の行為が制裁可能な行為であるためにはそれが意志による行為でなければならないというのが、キリスト教神学以来の西洋文化における共通了解であり、同様の見解がインドの仏教学者たちによっても表明されている。ただ、トマス主義的な主流においては、善の学説を究極目的の理論に組みこんだアリストテレスの戦略が幅を利かせてきたため、あまたのアポリアに逢着することになった。アガンベンはそこから脱出する道を求めて、主体と行為の関係を「目的」のパラダイムとは別の仕方で考えようとする。プラトンは『法律』で目的と手段の関係が中立化される領域として「遊び」を呼び起こした。タントラ仏教の『シヴァ・スートラ』では、幻惑に打ち克った覚者のなかで起きる変容が「踊り」というメタファーで記述されている。目的との関係から解き放たれた「純粋な手段」としての政治(ベンヤミン)を「身振り」の空間に置き戻したとき、行為を超えたところで「新しい可能な使用」の道が開かれるのではないか。こう期待して、本書は閉じられる。

著者紹介

アガンベン,ジョルジョ (アガンベン,ジョルジョ)   Agamben,Giorgio
1942年ローマ生まれ。ヴェネツィア建築大学教授を務めたのち、現在はズヴィッツェラ・イタリアーナ大学メンドリジオ建築アカデミーで教えている
上村 忠男 (ウエムラ タダオ)  
1941年兵庫県尼崎市生まれ。東京大学大学院社会学研究科(国際関係論)修士課程修了。東京外国語大学名誉教授。学問論・思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)