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慰安婦問題論

出版社名 みすず書房
出版年月 2022年7月
ISBNコード 978-4-622-08535-5
4-622-08535-6
税込価格 4,950円
頁数・縦 350,24P 20cm

商品内容

要旨

本書は2008年に、韓国人研究者がシカゴ大学出版から英語で刊行した研究書の待望の日本語版である。刊行当時から現在まで慰安婦問題をめぐる基本構図は変わらない。なぜこれほどまでに、問題はこじれたのか。日本軍の慰安所について、本書はそれを認可業者型、軍専属型、犯罪型に分類し、商業性と犯罪性の濃淡を認めている。公娼か性奴隷かの二元論はこの現実を見てこなかった。そうした論争は問題の核心も看過してきた。それは、慰安婦にされた女性を飲み込んだ女性蔑視・搾取の巨大な濁流、それに日韓双方が国家レベルでも国民レベルでも加担していた事実である。これが本書の問題意識である。「自らの政治的立場を強める目的で文脈を無視して本書の一部を悪用することのないよう、日本内外の右翼および急進的ナショナリストに注意を促しておく」。曲解を招く危険を自覚しつつ、争いの不毛さを指摘した勇気ある書。

目次

序 ジェンダー、階級、セクシュアリティ、そして植民地下における労働と帝国主義戦争
第1部 ジェンダーと構造的暴力(多様な慰安婦像から定型ストーリーへ
韓国人サバイバーの証言ナラティヴ
歴史としての日本の軍慰安制度)
第2部 パブリック・セックスと女性の労働(慰安婦をめぐる戦後/解放後の公的記憶
パブリック・セックスをめぐる個人の記憶
パブリック・セックスと国家)
おわりに 真実、正義、和解
補遺 「在外者人類学」を実践するということ

出版社・メーカーコメント

この問題が注目された端緒は1991年、金学順らが日本政府を相手に起こした集団訴訟だった。それから30年。元慰安婦らが国家賠償を求め続ける一方で、日本では教科書の記述が変更され、あいちトリエンナーレ2019で平和の少女像展示が一時中止になり、2022年日独首脳会談ではベルリンの少女像の撤去が求められた。1993年の河野談話を継承するとしつつ責任を限定したい日本側と、慰安婦制度は国家犯罪という認識は平行線をたどってきた。本書は2008年に、韓国人研究者がシカゴ大学出版から英語で刊行した研究書の待望の日本語版である。刊行当時から現在まで慰安婦問題をめぐる基本構図は変わらない。なぜこれほどまでに、問題はこじれたのか。日本軍の慰安所について、本書はそれを認可業者型、軍専属型、犯罪型に分類し、商業性と犯罪性の濃淡を認めている。公娼か性奴隷かの二元論はこの現実を見てこなかった。そうした論争は問題の核心も看過してきた。それは、慰安婦にされた女性を飲み込んだ女性蔑視・搾取の巨大な濁流、それに日韓双方が国家レベルでも国民レベルでも加担していた事実である。これが本書の問題意識である。「自らの政治的立場を強める目的で文脈を無視して本書の一部を悪用することのないよう、日本内外の右翼および急進的ナショナリストに注意を促しておく」(「はじめに」より)。曲解を招く危険を自覚しつつ、争いの不毛さを指摘した勇気ある書。

著者紹介

C.サラ・ソー (C.サラソー)   C.Sarah Soh
蘇貞姫。ソウル西江大学卒業後、ハワイ大学で文化人類学を専攻し博士号を取得。ハワイ大学、アリゾナ大学、サウスウェスト・テキサス州立大学、サンフランシスコ州立大学での教職を経て、現在サンフランシスコ州立大学名誉教授(人類学)
山岡 由美 (ヤマオカ ユミ)  
出版社勤務を経て翻訳業に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)