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中国の「よい戦争」 甦る抗日戦争の記憶と新たなナショナリズム

出版社名 みすず書房
出版年月 2022年7月
ISBNコード 978-4-622-09087-8
4-622-09087-2
税込価格 4,840円
頁数・縦 300,26,5P 20cm

商品内容

要旨

なぜいま抗日戦争なのか?注目の背景にある変化とは?オックスフォード大学の専門家が、政界と学界、映画、ソーシャル・メディア上の議論までを読み解く。

目次

はじめに―中国の戦争、記憶、ナショナリズム
第1章 熱い戦争と冷たい戦争―中国の闘い 1937〜1978年
第2章 歴史をめぐる戦争―中国の政治を形づくる歴史研究
第3章 記憶、郷愁、破壊―中国の公的な領域は第二次世界大戦をどのように受け容れたのか
第4章 古い記憶と新しいメディア―インターネット、テレビ、映画のなかの戦時史
第5章 重慶から延安まで―地域の記憶と戦時中のアイデンティティ
第6章 カイロ症候群―第二次世界大戦と現代中国の国際関係
終章 中国の長い戦後

出版社・メーカーコメント

かつては限られた語りしか許されていなかった抗日戦争(日中戦争)の記憶が、国力を増す中国でいま、「よい戦争」として甦っている。タブーだった蒋介石と国民党に対する再評価が進み、第二次世界大戦後の国際秩序の形成に自国が果たした役割にも、新たなまなざしが向けられている。何が起きているのか? 本書は、オックスフォード大学で現代中国史を研究する第一人者が、1980年代以降の政界と学界の動向から、博物館の展示拡充、文学潮流、人気映画、ソーシャル・メディア上の議論までを取り上げ、中国のナショナリズムと内的論理を多角的に分析するものである。 射程は現在の日中関係にも及ぶ。『南京! 南京!』『エイト・ハンドレッド(八佰)』など中国のヒット映画と、『永遠の0』『この世界の片隅に』ほか日本の人気作との違いを論じ、歴史教科書問題や尖閣諸島(釣魚群島)をめぐる対立の背景に潜む異なる記憶の回路にも迫っていく。 日中関係の今後を考えるうえでも新たな手がかりとなる本書は、『フォーリン・アフェアーズ』『スペクテイター』『アジアン・レビュー・オブ・ブックス』などで年間ベストブックにも選ばれた。日本版序文と監訳者による解説を収録。

著者紹介

ミッター,ラナ (ミッター,ラナ)   Mitter,Rana
オックスフォード大学教授(現代中国史・政治)。同学中国センターのディレクターも務める。ケンブリッジ大学で博士号取得(中国史)。著書Forgotten Ally(Houghton Mifflin Harcourt,2013、英国版China’s War with Japan 1937‐1945)は『エコノミスト』『フィナンシャル・タイムズ』などの年間ベストブックに選ばれ、複数の賞を受賞。英国学士院特別会員、大英帝国勲位の4等勲爵士
関 智英 (セキ トモヒデ)  
津田塾大学学芸学部准教授(中国近現代史、日中関係史)。2011年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。14年、同大学より博士(文学)授与
濱野 大道 (ハマノ ヒロミチ)  
翻訳家。ロンドン大学・東洋アフリカ学院(SOAS)卒業、同大学院修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)