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衡平な大学入試を求めて カリフォルニア大学とアファーマティブ・アクション

出版社名 九州大学出版会
出版年月 2022年8月
ISBNコード 978-4-7985-0335-6
4-7985-0335-5
税込価格 3,300円
頁数・縦 439P 21cm

商品内容

要旨

UC(カリフォルニア大学)の入試改革、その果てしなき歩み。学生集団の多様性の実現、州の大学予算削減と営利民営化の影響、標準テストや包括的審査の導入、教育・研究分野における国際競争力の確保…。カリフォルニア大学の入試制度改革史を通して米国高等教育の理想と現実を描き出す。

目次

第1部 公立大学の設立と社会契約の誕生(公立大学運動とカリフォルニア
高等教育システムの構築と大学進学の拡大 ほか)
第2部 進学需要をマネジメントする大学と第二次世界大戦後の時代(マスタープラン、SAT、および進学需要のマネジメント
対抗する二つの勢力―標準テストとアファーマティブ・アクション ほか)
第3部 衡平、アファーマティブ・アクション、および試験実施を巡る現代の争い(カリフォルニアのアファーマティブ・アクションを巡る攻防
第一の余波―アウトリーチ活動と包括的審査 ほか)
第4部 社会契約の範囲内なのか?―ポストモダンの世界と高等教育の優位性(危機と機会―大学の自治、個人業績、および営利民営化
衰退するアメリカの高等教育の優位性)

出版社・メーカーコメント

アメリカでは、州の予算によって設立された州立大学は州に対して一定の社会契約を果たさなければならない、という考えがある。その社会契約の一つに、特定の学力条件を満たした州民であれば誰でも州立大学に入学できる、という進歩的な理念と制度があり、各州で公立大学が設立されて以降、アメリカ社会の形成に大きく寄与してきた。本書は、アメリカ最大にして、最も選抜制の高い公立研究大学であるカリフォルニア大学において、公的機関の目的と将来に関する歴史的・今日的課題を包括的に論証したものである。その内容は人種、ジェンダーおよび出身階級などにより大きく影響を受けることになる大学への衡平なアクセスに関する議論と実践、大学自治を巡る攻防、標準化テストの導入への対応、さらには民営化とグローバリゼーションが大学に与える影響など、多岐にわたる。アメリカは世界に先駆けて高等教育の大衆化を実現させてきたが、今日においては大学へのアクセスと卒業率は低下し、特に若い学生の間でそのことが顕著になっている。またEUやOECDの主要加盟国、中国、インドなどの新興経済大国からも高等教育制度改革の分野で挑戦を受けていると著者は警告をしている。質が高く、アクセスが保証されている高等教育システムという「アメリカの優位性」は、グローバル経済の中で今後も維持していくことができるのか。わが国の高等教育改革を論じていくうえでも、カリフォルニア大学の実践は貴重な知見を与えてくれるだろう。

著者紹介

ダグラス,ジョン・オーブリー (ダグラス,ジョンオーブリー)   Douglass,John Aubrey
カリフォルニア大学バークレー校高等教育センター(CSHE)シニア・リサーチフェロー、研究教授(公共政策・高等教育)
木村 拓也 (キムラ タクヤ)  
九州大学大学院人間環境学研究院(教育学部)教授(教育社会学)。独立行政法人大学入試センター研究開発部教授(クロスアポイントメント)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)