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経営学の危機 詐術・欺瞞・無意味な研究

出版社名 白桃書房
出版年月 2022年7月
ISBNコード 978-4-561-16186-8
4-561-16186-4
税込価格 3,700円
頁数・縦 402,53P 20cm

商品内容

要旨

蔓延する研究不正、格付け・ランキング・業績評価に翻弄される大学と研究者たち、「実学」とは名ばかりの不毛な言葉遊びと数字いじり…。「世界標準」の実状と、社会科学系の学問領域全般が直面している“危機の諸相”。それは対岸の火事ではない。これらの問題が余すところなく描き出された「告発」の書!

目次

序章 はじめに 経営学における危機
第1章 最初から欠陥だらけ―経営学の不幸な生い立ち
第2章 学術研究を堕落させ学問の自由を脅かしつつある監査の暴虐
第3章 レヴィー・ブレイクス―壊滅寸前の研究生活
第4章 学術研究におけるインテグリティの崩壊
第5章 失われし楽園の幻想―経営学における論文撤回の事例から
第6章 経営研究におけるナンセンスの勝利
第7章 欠陥だらけの理論、怪しげな統計分析、まことしやかなオーセンティック・リーダーシップ理論
第8章 「エビデンスベーストの経営」の約束と問題とパラドックスと
第9章 有意義な経営研究の復権を目指して
第10章 経営研究に確固たる目的意識と情熱を取り戻すために

出版社・メーカーコメント

本書は、経営学、広くは社会科学系の学問領域全般が直面している危機の諸相が、研究の質とインテグリティ(倫理的な一貫性や誠実性)、大学における研究・教育体制、学問と実社会との関係など、多岐にわたる問題との関連で余すところなく描き出された「告発」の書である。 しかし、本書は単なる「批判のための批判」の書などではない。著者のトゥーリッシュ教授は、経営学の再生の可能性を見すえた上で、さまざまな改善策を提案している。 その主な分析と考察の対象となっているのは、欧米各国や豪州などにおける経営研究に見られる問題点とビジネススクールをはじめとする高等教育機関が組織として抱えている問題である。すなわち、世界ランキングの上昇に執着する大学組織・トップジャーナルへの論文掲載自体を目的として編集委員や査読者の意向を過剰に忖度した無内容な論文の量産・研究者の置かれているブラックな労働環境などがあり、それらの問題が詳らかにされる。それは日本を含む他国でも見いだされるものであり、また経営学に限られたものではない。 さらに実学としての側面から考えると、組織経営に関わる人々も無関心ではいられない内容が含まれている。内実が不明な国際標準(グローバルスタンダード)に惑わされて、ひたすら瑣末な「リサーチギャップ」を埋めることを目指す独創性や新奇性に乏しい論文が日本でも量産されているとしたら、それは、個々の研究者の問題であると同時に、関係する諸機関、それ以上の問題でもあるだろう。 本書は、著者自身が当事者として関わってきた内部告発としての側面も持ち、組織エスノグラフィー手法を駆使した労作である。 我々日本の関係者もそれらの問題から目をそらさず、真摯に向き合わなければならない時にきていることを教えてくれる。

著者紹介

トゥーリッシュ,デニス (トゥーリッシュ,デニス)   Tourish,Dennis
英国サセックス大学ビジネススクール教授(リーダーシップ論・組織論)。1988年、英国アルスター大学(北アイルランド)コミュニケーション理学士(BSc:Bachelor of Science)。91年、同大学健康・社会サービス経営学修士(MSc:Master of Science)優秀賞。96年、同大学博士(Ph.D.)。2015年から2021年まで、学術誌Leadershipの編集委員長を務める
佐藤 郁哉 (サトウ イクヤ)  
同志社大学商学部教授・一橋大学名誉教授。1955年、宮城県生まれ。77年、東京大学文学部卒業。84年、東北大学大学院博士課程中退。86年、シカゴ大学大学院修了(Ph.D.)。一橋大学大学院商学研究科教授、プリンストン大学客員研究員、オックスフォード大学客員研究員などを経て2016年より現職。専門は経営組織論・社会調査方法論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)