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海の生物と環境をどう守るか 海洋生物多様性をめぐる国連での攻防

出版社名 西日本出版社
出版年月 2022年10月
ISBNコード 978-4-908443-44-2
4-908443-44-0
税込価格 2,860円
頁数・縦 276P 21cm

商品内容

要旨

20世紀後半、海洋における生物、非生物資源の開発利用や乱獲が現実となった。これらの開発・利用について、公海、深海底ではいずれの国も管轄権が及ばない。そのため、いまの国連海洋法条約では、生物多様性の保全や持続可能な利用の規制が不十分となっている。いま国際的に最大の論点は、このような「国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)」の問題である。本書はこの問題に取り組む国連などの現状とその展望について、現場にかかわる関係者や研究者によって浮き彫りにする。

目次

第1部 国連海洋法条約の展開とBBNJ(国連海洋法条約の展開とBBNJ)
第2部 海洋生物多様性をめぐって(細り行く海の恵みと国際社会
深海の生物多様性に関する研究の歴史とBBNJ交渉
海洋遺伝資源の利活用の進展 ほか)
第3部 海洋生物多様性を守るために―国連におけるBBNJ交渉(国連におけるBBNJ交渉の展開
海洋遺伝資源をめぐる論点と展望
区域型管理ツールの活用のために ほか)

出版社・メーカーコメント

国家管轄権外区域とは、国際法上どこの国の権限も及ばない区域を意味し、具体的には公海および深海底から構成される。この国家管轄権外区域がなぜ重要であるのか。そこにはマグロやサケ等の水産有用種や、サメやウミガメ等の希少種が多数生息している他、経済的な利益をもたらし得る海洋遺伝資源が多く存在することが知られており、海洋の生物多様性を考えるときに非常に重要な海域であるからである。このような背景の下、国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)の保全や海洋遺伝資源の開発をめぐっては、1990年代より活発に国際的な議論が行われてきた。本書では国家管轄権外区域の環境を守るためには不可避のBBNJの現況や問題を、海洋法、科学、政府間交渉など多角的な観点から第一線の専門家が解説する。【目次】はじめに:阪口 秀第1部 国連海洋法条約の展開とBBNJ 1 国連海洋法条約の展開とBBNJ:坂元茂樹第2部 海洋生物多様性をめぐって 1 細り行く海の恵みと国際社会 :井田徹治 2 深海の生物多様性に関する研究の歴史とBBNJ交渉:白山義久 コラム●BBNJ交渉と、他の条約との関連:白山義久  3 海洋遺伝資源の利活用の進展 :竹山春子 ・西川洋平・丸山浩平 4 公海域における水産資源管理と海洋保護区:森下丈二  5 深海底の鉱物資源開発と国際海底機構(ISA)の役割:岡本信行・藤井麻衣  コラム●北極の現状と中央北極海における公海水域の未来:幡谷咲子第3部 海洋生物多様性を守るために - 国連におけるBBNJ交渉 1 国連におけるBBNJ交渉の展開 :西本健太郎 2 海洋遺伝資源をめぐる論点と展望:本田悠介 3 区域型管理ツールの活用のために:八木信行 4 環境影響評価をめぐって:瀬田真 5 能力構築と海洋技術移転:藤井巌・前川美湖 コラム●BBNJ交渉の裏側:樋口恵佳おわりに:前川美湖

著者紹介

坂元 茂樹 (サカモト シゲキ)  
神戸大学名誉教授。1950年長崎市生まれ。専門分野は国際法。琉球大学、関西大学、神戸大学、同志社大学を経て、現在、(公財)人権教育啓発推進センター理事長
前川 美湖 (マエカワ ミコ)  
海洋政策研究所主任研究員。1996年上智大学文学部卒業後、(財)貿易保険機構(当時)、1999年に英国イースト・アングリア大学大学院修了。2000年から国連開発計画(UNDP)で、北京、ニューヨーク、ルワンダ事務所で、環境・エネルギープロジェクトを中心に担当。2012年に東京大学総括プロジェクト機構「水の知」講座特任助教、2013年に大阪大学大学院人間科学研究科グローバル人間学専攻特任講師、2015年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)