• 本

川のほとりに立つ者は

出版社名 双葉社
出版年月 2022年10月
ISBNコード 978-4-575-24572-1
4-575-24572-0
税込価格 1,650円
頁数・縦 222P 20cm

NetGalley 会員レビュー

書店関係者

おすすめ度おすすめ度★4

冒頭ミステリータッチ。続きが気になってグイグイ読んだ。少しずつ謎がとけるに従って、人の多様さに打ちのめされる。それぞれ違うのが人なんだ。同じであることを強いられた自分。子どもにも周りと同じであることを強いた自分。子どもだけじゃない。周りの人も同じであることを求める自分。両方の自分を想う。人と人が分かり合うのは大変なことだ。でも人は人と繋がることで楽しく豊かな人生を送ることができる。人はひとりひとり、全部違う。生きるために、大切なことがここにある。

書店関係者

おすすめ度おすすめ度★5

何が正義か、何が正しいのかそればかりを気にして自分を出せない、周囲に気を使いすぎて知らず知らずのうちに我慢して爆発する。しかも本人は我慢しているなんて思っていない。そういう人たくさんいると思う。私もその一人。主人公の一人清瀬に感情移入しながら読んだ。特別に悪い人なんて登場しないのに、人と人とのつながりが絡まりあって問題が起こりそこから周囲に、そして自分に目を向け視界を広げていく、読者にそれを語りかけてくる。穏やかな文章でそれを魅せる寺地はるな先生のこの物語を、私は【繰り返し読みたいくらい好き】だと思った。

図書館関係者

おすすめ度おすすめ度★5

この本を読むと思う。川べりの人は、水底の石を知らない。同じように、梢の葉のことも知らないだろう。人は、自分の立ち位置からしか見えない。それは咎め立てすることじゃない。そこからは何が見えるのかどう見えるのかを、ほんの少しでもいいから慮るゆとりがないことが、駄目なのだと思う。他者の立ち位置から見える景色を責め合わずに、尊重できるような人間関係を作れたらいいな。描かれている以上のことを考えさせてくれる本だった。読んでよかった。

上記レビューの提供元:NetGalley(株式会社メディアドゥ)

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商品内容

要旨

新型ウイルスが広まった2020年の夏。カフェの店長を務める29歳の清瀬は、恋人の松木とすれ違いが続いていた。原因は彼の「隠し事」のせいだ。そんなある日、松木が怪我をして意識を失い、病院に運ばれたという連絡を受ける。意識の回復を待つ間、彼の部屋を訪れた清瀬は3冊のノートを見つけた。そこにあったのは、子供のような拙い文字と、無数の手紙の下書きたち。清瀬は、松木とのすれ違いの“本当の理由”を知ることになり…。正しさに消されゆく声を丁寧に紡ぎ、誰かと共に生きる痛みとその先の希望を描いた物語。

出版社・メーカーコメント

カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。

著者紹介

寺地 はるな (テラチ ハルナ)  
1977年、佐賀県生まれ。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞し、デビュー。2020年度の咲くやこの花賞文芸その他部門を受賞。21年『水を縫う』で第9回河合隼雄物語賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)