• 本

秘薬紫雪/風のように

出版社名 作品社
出版年月 2022年12月
ISBNコード 978-4-86182-942-0
4-86182-942-9
税込価格 2,640円
頁数・縦 227P 22cm

商品内容

要旨

陸軍中尉はなぜ、親友の幼馴染である美しき妻・雪野を殺したのか。問わず語りに語られる、舞台女優・沢子の流転の半生と異常な愛情。大正ロマンの旗手による、謎に満ちた中編二作品。挿絵106枚収録。

出版社・メーカーコメント

矢崎忠一は、最愛の妻を殺しました。 陸軍中尉はなぜ、親友の幼馴染である美しき妻・雪野を殺したのか。問わず語りに語られる、舞台女優・沢子の流転の半生と異常な愛情。大正ロマンの旗手による、謎に満ちた中編二作品。挿絵106枚収録。 どうした訳だろう。彼女(あれ)は、あの晩に限って、今まで一度も見せたことのないような厳然とした顔をして言った。「あなたは取返(とりかえ)しのつかないことを仰言(おっしゃ)いましたわね。しかしあたしはもう覚悟をきめました。あなたはあたしの良人(おっと)です。さ、どうでも気のすむようになさい」(「秘薬紫雪」より) 私は一人の不思議な、風のような女の知り合いになった。(…)其日(そのひ)にも私は例の隅の卓(テーブル)で、食後の煙草(たばこ)をふかしていたのです。一人の見知らぬ女が、恰度(ちょうど)私と反対の隅に坐ってじっとこちらを見ているのです。特に注意を惹(ひ)く女でもなかったのですが、一見非常な苦悩を湛(たた)えて、世にもたよりないと言ったようなその眼が、じっと私を瞶(みつめ)ているのです。(「風のように」より)

著者紹介

竹久 夢二 (タケヒサ ユメジ)  
画家・詩人・デザイナー・作家。1884年岡山県生まれ(本名・茂次郎)。1901年に上京し、翌年、早稲田実業学校に入学。1905年、平民社の機関誌「直言」にコマ絵を発表、その後「平民新聞」にも絵や文章を発表する。翌年には「東京日日新聞」、「女学世界」、「文章世界」などからも依頼を受けるようになり、早稲田実業学校を中退。1909年に初の画集『夢二画集春の巻』(洛陽堂)を刊行。1914年、日本橋に自身がデザインした小物などを売る「港屋」を開業。以降、画家、詩人、グラフィックデザイナー、翻訳家、小説家として幅広い活躍を続ける。1931年から33年にかけて欧米各国を訪問。1934年、49歳で逝去
末國 善己 (スエクニ ヨシミ)  
文芸評論家。1968年広島県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)