海のアルメニア商人 アジア離散交易の歴史
集英社新書 1160
出版社名 | 集英社 |
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出版年月 | 2023年4月 |
ISBNコード |
978-4-08-721260-0
(4-08-721260-2) |
税込価格 | 1,155円 |
頁数・縦 | 203P 18cm |
書籍ダイジェスト配信サービス SERENDIP 厳選書籍 要旨 アルメニア共和国がどこにあるか、すぐに思い出せるだろうか。アルメニアは、トルコやイランなどと接する西アジアの内陸国である。歴史的に大国の侵略、民族の離散を繰り返してきた一方で、「交易の民」であり、「アルメニア商人」と呼ばれる人びとが、長距離巡回交易を行い活躍してきた。本書は、多くの史料に基づいてアルメニアの歴史を振り返りながら、アルメニア人が大国の干渉や侵略に遭いながらも、その不遇の中をいかに生き抜いてきたかに焦点を当てる。小民族のアルメニア人は、16~17世紀には、サファヴィー朝やオスマン帝国といった大国にとって対抗勢力とはみなされず、異端者として、むしろ情報収集力、商才、交渉力などを買われて重宝されていたという。また、日本との間で行われていた交易においても、家族経営の小さな組織ゆえに、大手海運会社の参入しない分野での「ニッチ交易」で利権を求める戦略をとっていたようだ。著者は歴史学者。追手門学院大学名誉教授。「マレーシアおよびシンガポールにおけるインド移民社会の形成と変容」をテーマに博士号取得(文学)。著書に『マラッカ海峡物語 ペナン島に見る多民族共生の歴史』(集英社新書)などがある。 |
商品内容
要旨 |
賢く、誇り高き「逃走」の生存戦略。ジェノサイドから逃れるために、世界各地に離散せざるを得なかった小民族アルメニア人。いかにたくましく生き抜いてきたか。 |
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目次 |
第1章 アルメニアン・シルクロード |
出版社・メーカーコメント
有史以来、アルメニアは次々と勃興する帝国のはざまで侵略を受け、「ディアスポラ(離散)」という運命に晒されてきた。離散したアルメニア人たちは、近世のユーラシア大陸では「陸の巡回商人」として活躍していたが、近代になると「海の商人」に変貌し、インド・東南アジアを経て、香港や上海、日本にまで到来していたことが調査により明らかになった。彼らは各地でどのようにコミュニティを築き、いかに生き抜いてきたのか――。インド、マレーシアなどでの資料収集、墓碑調査、インタヴューをもとに、アルメニア商人たちの姿をアジア交易の視点から鮮やかに描き出す。重松伸司(しげまつ しんじ)歴史学者。追手門学院大学名誉教授。「マレーシアおよびシンガポールにおけるインド移民社会の形成と変容」をテーマに博士号取得(文学)。著書に『マラッカ海峡物語 ペナン島に見る多民族共生の歴史』(集英社新書)、『マドラス物語――海道のインド文化誌』(中公新書)など。