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隠れ家と広場 移民都市アムステルダムのユダヤ人

出版社名 みすず書房
出版年月 2023年6月
ISBNコード 978-4-622-09558-3
4-622-09558-0
税込価格 3,960円
頁数・縦 222,20P 20cm

商品内容

要旨

世界から人々を引きつけるグローバル都市、アムステルダムは、すでに400年にわたって移民や難民を受け入れてきた。とくにユダヤ人の受容では、西欧でも有数の規模を誇る。アンネ・フランクもスピノザも迫害されて故国を離れ、この街にたどり着いた移民二世だった。そして街の随所にある広場は、市民の日常生活の場であると同時に、移住したばかりの新参者にとっても、都市社会になじみ、人と繋がる重要な空間だった。アンネも思いっきり広場で友だちと遊んでいた。しかし1940年、ナチ・ドイツが侵攻してユダヤ人迫害がはじまると、アンネ一家のように隠れ家に潜んだ人たちもいたが、最終的にはオランダから10万人を超えるユダヤ人がアウシュヴィッツなど強制収容所に送られ、その多くが死亡した。他方アムステルダムでは、保育士、大学生、法律家などさまざまな人々が、命がけでユダヤ人を支援する抵抗運動に加わった。現在、世界のあちこちで戦火が絶えず、難民は増えつづけている。日本にとっても、この街の経験は示唆的だろう。なお、アンネとオードリー・ヘプバーンは同い年。このふたりの人生は、意外なかたちで交差する。戦争に翻弄されるなかで、いくつもの物語が生まれた。

目次

「隠れ家」と「広場」
「寛容の国」オランダ共和国の光と影
一九世紀アムステルダム、都市改革の夢―サルファーティの「約束の地」
メルウェーデ広場の青春―広場の少女アンネ
「涙の館」、オランダ劇場にて
保育士たちのレジスタンス
学生たちのレジスタンス―大時計の下で
カルマイヤーのリスト―法律家たちのレジスタンス
オードリー・ヘプバーンとアンネ・フランク―魂の邂逅
隠れ家、その後―アンネと仲間たちの「命のバトン」
終戦と解放―『アンネの日記』が刊行されるまで
戦後補償と歴史認識の新展開
明日もきっと、元気でね―トークショーの女王、ソンヤ・バーレント

著者紹介

水島 治郎 (ミズシマ ジロウ)  
東京大学教養学部卒業。1999年、東京大学大学院法学政治研究科博士課程修了。甲南大学法学部助教授などを経て、千葉大学大学院社会科学研究院教授。専攻はオランダ政治史、ヨーロッパ政治史、比較政治。著書『反転する福祉国家:オランダモデルの光と影』(岩波書店、2012、第15回損保ジャパン記念財団賞)、『ポピュリズムとは何か:民主主義の敵か、改革の希望か』(中公新書、2016、第38回石橋湛山賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)