• 本

動物×ジェンダー マルチスピーシーズ物語の森へ

神奈川大学人文学研究叢書 50

出版社名 青弓社
出版年月 2024年2月
ISBNコード 978-4-7872-9275-9
4-7872-9275-7
税込価格 3,300円
頁数・縦 237P 22cm

商品内容

要旨

マルチスピーシーズ物語の森へ。人間と動物を対立させる価値観を退け、ポストヒューマンやクィアの思想を取り込みながら、動物表象に潜むジェンダー力学を浮き彫りにする。動物や人間、精霊やウイルスをめぐる物語の森に分け入り、マルチスピーシーズとジェンダーという複合的な視野で作品の可能性を浮上させる。

目次

第1部 記された“動物”と“性”(共苦による連帯とその失敗―大江健三郎「泳ぐ男」における性差と動物表象の関係を手がかりに
多和田葉子の動物演劇の試み―『夜ヒカル鶴の仮面』から『動物たちのバベル』へ
皮膚感覚的快楽の果てをめざして―松浦理英子『犬身』論
マルチスピーシーズ・フェアリーテール研究序説)
第2部 多様な種の文化表象へ(銃を持つダイアナ―二十世紀転換期アメリカにおける狩猟とジェンダーをめぐる言説
オーストラリア児童文学におけるアボリジナル文化―精霊の表象を手がかりに
モクモク村のQちゃん―「野性」と「男性性」のクィア・リーディング
ワクチンとしての物語―章夢奇のドキュメンタリー作品における女性の語りを手がかりに)

出版社・メーカーコメント

民話やおとぎ話の動物と人間の関係、寓話やファンタジーに登場する精霊、狩猟と男性性、冒険物語を脱構築する動物−−それらを文学や芸術はどのように描いてきたのか。大江健三郎、多和田葉子、松浦理英子たちの現代の「動物作品」は何を表象しているのか。動物が人間よりも劣位に置かれる文化・構造を踏まえ、人間中心の視点を脱し、複数種(マルチスピーシーズ)の絡まり合いから作品や表象を読み解く。これに加えて、女性が男性から差別される非対称性に基づき、ジェンダーの視点も重ね合わせて多角的に分析する。人間と動物を対立させる価値観を退け、エコクリティシズムやポストヒューマンの思想の潮流に棹さしながら、動物表象に潜む力学を浮き彫りにする。動物や人間、精霊をめぐる物語の森に分け入り、マルチスピーシーズやジェンダーなどの複合的な視野で作品の可能性を浮上させる新たなリーディングの地平。

著者紹介

村井 まや子 (ムライ マヤコ)  
神奈川大学外国語学部教授、おとぎ話文化研究所所長。専攻はおとぎ話文化、比較文学
熊谷 謙介 (クマガイ ケンスケ)  
神奈川大学国際日本学部教授。専攻はフランス文学・文化、表象文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)