• 本

ウイルスはそこにいる

講談社現代新書 2742

出版社名 講談社
出版年月 2024年4月
ISBNコード 978-4-06-534694-5
4-06-534694-0
税込価格 1,012円
頁数・縦 220P 18cm

商品内容

要旨

免疫学者とウイルス学者がタッグを組んで生命科学最大のフロンティアを一望!なぜ感染すると病気に?ミクロの世界で繰り広げられる驚きの攻防戦とは?

目次

第1章 新型コロナウイルスでささやかれる持続感染の恐怖
第2章 ウイルスとは何か
第3章 ウイルスに感染すると、なぜ病気になるのか
第4章 ウイルスがからだに潜り込むカラクリ
第5章 厄介な潜伏ウイルスたち
第6章 病原性ウイルスVS.人類 ミクロの世界で繰り広げられる攻防戦
第7章 ヒトのゲノムに入り込んだウイルスたち
第8章 医学でウイルスを克服できるのか

出版社・メーカーコメント

私たちはウイルスまみれだった!体内に潜むパラサイトたちの驚異の生態ウイルスは常に悪者というわけではない。われわれの身の周りには病原性を持たないウイルスがいくらでもいる。われわれのからだの表面や気道や消化管の内腔には多くの細菌が存在してを形成してているが、実はこれらの場所には多種多様なウイルスが同時に存在していて、常在ウイルス叢というものが存在する。常在細菌叢はわれわれのからだにとって大事な役割をしていることが最近分かってきたが、ウイルスも同様なのかもしれない。どうも何かの必然性とともに多種類のウイルスがわれわれのからだに常時存在しているようにみえる。さらに、私たちの遺伝子の中には非常に多くのウイルス由来の配列が散在している。これに加えて、ウイルスそのものまでがゲノムの中に挿入されていることがあり、その一部はなんとヒトの遺伝子として働いていることがわかってきた。つまり、ウイルスは外界からの侵入者ではなくて、一部のものはわれわれの体内に棲みついて、われわれはそれを利用しているのである。われわれのからだという「母屋」がウイルスに「軒を貸した」状態になっていて、まさに「ウイルスはすぐそこにいる」のだ。それにしても、なぜわれわれの遺伝子の中にまでウイルスが入り込んでいるのだろうか? もしかして、この世に人類が現れてくるためにウイルスが必要だったのかもしれない。だとすれば、ウイルスは、敵対者ではなく、欠くことができない同居人なのかもしれない。そもそも、いくら自分のまわりを清潔にしても、ウイルスはわれわれのからだの中にまで入り込み、棲みついている。そして人間はその一部を自分たちの生命活動のために利用している。単純な排除論、撃退論は役に立たない。われわれは、ウイルスと戦いながらも、あるときは共存、共生し、その中で生き抜いて進化してきたという事実を忘れてはならない。そのように考えると、今後大事なのは、ウイルスに対していかに対処し、いかに共存するかだ。そのためには、われわれはウイルスというものを「正しく知る」必要がある。「ウイルスにまみれて生きているわれわれ」にとって、本書が、改めてウイルスの意義、意味について考える機会になれば幸いである

著者紹介

宮坂 昌之 (ミヤサカ マサユキ)  
大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授。1947年長野県生まれ。京都大学医学部卒業、オーストラリア国立大学大学院博士課程修了。金沢医科大学血液免疫内科、スイス・バーゼル免疫学研究所、東京都臨床医学総合研究所を経て、大阪大学医学部教授、同大学大学院医学系研究科教授を歴任。医学博士・PhD
定岡 知彦 (サダオカ トモヒコ)  
藤田医科大学研究推進本部感染症研究センター准教授(PI)。1975年愛媛県生まれ。徳島大学歯学部卒業、大阪大学大学院博士課程修了。医薬基盤研究所、神戸大学大学院医学研究科附属感染症センター、米国国立アレルギー・感染症研究所、米国国立衛生研究所にてヘルペスウイルス研究に従事。歯学博士・PhD(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)