笑う森
出版社名 | 新潮社 |
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出版年月 | 2024年5月 |
ISBNコード |
978-4-10-468907-1
(4-10-468907-6) |
税込価格 | 2,420円 |
頁数・縦 | 451P 20cm |
NetGalley 会員レビュー
おすすめ度 小樹海の異名をもつ「神森」で男の子が消えた。最低気温は摂氏2度まで下がる深い森で、水も食糧も持たないまま。1週間後、1人でいるところをようやく保護されるが、男の子はASD(自閉スペクトラム症)で、どうやって生き延びたのか森でのできごとを聞き出すのは難しく…事件当時、森の闇に潜んでいた大人たち。もし男の子を助けてくれたんだとしても…訳アリに決まってる!人殺し、嘘つきYouTuber、自殺願望者、ヤクザに追われる奴。まさかこの人たちが!??明かされていく森での1週間は、無事に帰ってきたのが信じられないほどハードだった…!事件後の母子のまわりもいろいろありすぎて、思いがけない展開の連続。やっぱり悪いことはできないな…真人くんのかわいさに癒されつつ、読み終えました。おもしろかったです!
おすすめ度 様々な社会の問題を、凝縮したような小説。とはいえ、暗くてどうしようもないような雰囲気は皆無。もちろん、問題を抱えるそれぞれの人物たちの身勝手な思いには辟易したけれど。ただ、物語が進むにつれ、真人くん行方不明時の謎が解けていき、皆それぞれちょっとした優しさがないわけではないことも分かっていく。(あれを優しさと言っていいのか分からないけど、それがなければ、真人くんは別の状態で発見されたかもと思う。)世の中捨てたものじゃない。そして誰でも生きる方向を少しだけ変更することは、できるかもしれないのだ。そんなことを考えることができた小説だった。
おすすめ度 様々な事情や生きづらさを抱え、たまたま森に居合わせた大人たちによって、リレーをみているかのように迷子になった真人が描かれる。困った大人たちばかりだが、真人を見る目はどの人も優しく、憎めない。普段なかなか理解されにくい、コミュニケーションが苦手な発達障害の子供の特性や、親の大変さなども丁寧に描かれた上で、ふっと物語の世界に連れていかれ、リアルとファンタジーのハザマを彷徨う読書だった。 上記レビューの提供元:NetGalley(株式会社メディアドゥ) NetGalleyとは、本を応援するWEBサイトです。 |
商品内容
文学賞情報 |
2024年
第19回
中央公論文芸賞受賞 |
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要旨 |
誰の人生にも罪はあり、罪の理由は人生にある。神森で5歳のASD児・真人が行方不明になった。無事に保護されるが「クマさんが助けてくれた」と語るのみ。真人の母でシングルマザーの岬は、バッシングに晒されている。真人の叔父・冬也の懸命な調査で、4人の男女と一緒にいたことは判明するが、空白の時間は完全には埋まらない。森での邂逅が導く未来とは―。誰もが抱く、拭えない過去を浄化に導く、癒やしの書。 |
出版社・メーカーコメント
神森で行方不明になった5歳児と迷い込んだ4人の男女。拭えない罪を背負う彼らの真実と贖罪。原生林で5歳のASD児が行方不明になった。1週間後無事に保護されるが「クマさんが助けてくれた」と語るのみで全容を把握できない。バッシングに遭う母のため義弟が懸命に調査し、4人の男女と一緒にいたことは判明するが空白の時間は完全に埋まらない。森での邂逅が導く未来とは。希望と再生に溢れた荻原ワールド真骨頂。