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音楽雑誌と政治の季節 戦後日本の言論とサブカルチャーの形成過程

出版社名 青弓社
出版年月 2024年6月
ISBNコード 978-4-7872-3538-1
4-7872-3538-9
税込価格 3,960円
頁数・縦 388P 20cm

商品内容

要旨

「ニューミュージック・マガジン」などの1970年前後のオルタナティブな批評誌で展開された議論や論争を読み込み、ポピュラー音楽と社会状況との関係を明らかにする。音楽が“情況”や運動とどう対峙したのかを描くことで、戦後日本が抱える内なる他者や“アメリカ”の変容をあぶり出す。

目次

序章 “他者”の到来(問題設定
先行研究―領域ごとの先行研究の整理
本書の構成)
第1章 「音楽誌史」概観(一九六九年四月「ニューミュージック・マガジン」創刊
ジャズからビートルズヘ―「ミュージック・ライフ」(占領期―一九六五年)
「嗜み」から「愉しみ」ヘ―大阪労音、「うたうたうたフォークリポート」
一九六九年―「フォークリポート」から「ニューミュージック・マガジン」「新宿プレイマップ」へ
一九七九年の誌名変更
結びにかえて―ポピュラー音楽をめぐる現在の「情況」)
第2章 「ニューミュージック・マガジン」の一九六九年―七〇年前後のメディア環境(ポップの波打ち際―一九六九年の社会、経済、メディア状況
音楽メディアの新たな時代
「ニューミュージック・マガジン」の一九六九年)
第3章 雑誌メディアの“情況”と“運動”、“他者性”をめぐる問題―「ニューミュージック・マガジン」一九七〇―七四年(「覆刻」された創刊号―一九七〇年代初期の出版をめぐる情況
「ニューミュージック・マガジン」をめぐる“情況”
“他者”の変容―シンボルからシステムへ)
第4章 “情況”とサブカルチャー―雑誌「試行」をめぐる文化論的考察(サブカルチャーのなかの“情況”
「試行」創刊をめぐる“情況”
「試行」同人解散、単独編集に至るまで
“大衆化”への応答
“大衆化”とサブカルチャー―「周縁文化」の時代
“大衆化”とアイロニー)
第5章 雑誌と“敗北”―「試行」と「ニューミュージック・マガジン」、サブカルチャーのなかのアイロニー(二重の“敗北”―一九六〇年安保闘争
“敗北”とサブカルチャーの接続(1)
“敗北”とサブカルチャーの接続(2)
ジャズからロックへ―「ニューミュージック・マガジン」創刊前夜
一九六九年四月「ニューミュージック・マガジン」創刊
“敗北”という起点
“敗北”の記憶)
第6章 成長と運動の時代における“他者”の変容―オルタナティブなメディアはなぜ一九七〇年前後に生起したか(“アメリカ”の存在
一九七〇年前後という時代(1)―「六〇年安保」と「大学紛争」
一九七〇年前後という時代(2)―アメリカの対抗文化と「ベトナム反戦」
一九七〇年前後(3)―「テレビ、お前はただの現在にすぎない」
一九七〇年前後(4)―ベ平連の活動から生まれた「週刊アンポ」
考察
結論)
第7章 出版研究における“場”の理論導入の可能性―ブルデュ

出版社・メーカーコメント

1969年に評論家・中村とうようたちが創刊した音楽批評誌「ニューミュージック・マガジン」は、「ロッキング・オン」などとともに戦後のポピュラー音楽やサブカルチャーをめぐる議論を牽引した。そのなかで〈他者〉、とりわけアメリカはどのような存在だったのか。戦後の音楽産業、音楽雑誌や出版をめぐる事情などの基礎知識を押さえたうえで、「ニューミュージック・マガジン」の編集者を務めた北中正和へのインタビューや日本語ロック論争から、当時のポピュラー音楽と社会状況との関わりを明らかにする。加えて、吉本隆明たちが立ち上げた「試行」が日本の文化状況に与えたインパクトや、サブカルチャーへの影響などについても検証する。1970年前後のオルタナティブなリトルマガジンで展開されたポピュラー音楽批評から、音楽が情況や運動とどう対峙したのかを描き、それをとおして戦後日本が抱える内なる他者や〈アメリカ〉の変容をあぶり出す。

著者紹介

山崎 隆広 (ヤマザキ タカヒロ)  
1969年、群馬県生まれ。群馬県立女子大学文学部教授。専攻はメディア論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)