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神々の闘争 折口信夫論

講談社文芸文庫 あV2

出版社名 講談社
出版年月 2024年8月
ISBNコード 978-4-06-536305-8
4-06-536305-5
税込価格 2,530円
頁数・縦 290P 16cm

商品内容

要旨

折口信夫は「国家」に抗する作家である。―本書冒頭に置いたこの一文によって、安藤礼二は執筆活動を開始した。多彩な著作を残した折口の本質が「国家」への抵抗であるならば、折口の考えた「天皇」とは、いかなる存在なのか?さらに井筒俊彦の『コーラン』解読から「天皇」を問い直すことで浮上する東西アジアを真に結合する闘争の原理とは!?「『死者の書』という場」を補論として収録する決定版文庫。

目次

第1章 神々の闘争―ホカヒビト論
第2章 未来にひらかれた言葉
第3章 大東亜共栄圏におけるイスラーム型天皇制
第4章 戴冠する預言者―ミコトモチ論
第5章 内在と超越の一神教
補論 『死者の書』という場

出版社・メーカーコメント

2002年群像新人文学賞評論部門優秀作となった「神々の闘争−−折口信夫論」を軸に、書き継ぎ推敲を重ねた論考が2004年にまとめられ、文芸評論家・安藤礼二の最初の単行本『神々の闘争 折口信夫論』となった。その後の2008年に雑誌掲載された「『死者の書』という場(トポス)」という短い評論に作家・大江健三郎が目を留め、高く評価する。その出会いが2009年安藤礼二の『光の曼陀羅 日本文学論』(2016年に文芸文庫版を刊行)による大江健三郎賞の受賞につながっていく−−折口信夫の文学と思想の源泉を探る問いかけは、やがて折口の生きた時代を共有した井筒俊彦、大川周明、北一輝、石原莞爾、西田幾多郎といった思想家たちの言葉を参照することにつながっていく。それは世界におけるアジア、アジアにおける日本を考えることにつながる。第二次世界大戦以前の君主制日本、それは「天皇」の存在を抜きにして何かを考えることは不可能な時空間だが、そのような状況下での権力のあり様の本質を、昭和天皇の即位を契機に定義したのが折口信夫だった。著者は論を進めるうち、やがて折口信夫の背後にある平田篤胤の神学の存在に至る。折口信夫という孤高の文学者・思想家をその特殊性で理解するのではなく、つねに普遍性を備え同時代に生きて闘う存在ととらえる本書は単行本の刊行から20年を経て、新たに戦争状態が世界を覆っているかのように見える現在こそ読まれるべきなのかもしれない。目次第一章 神々の闘争−−ホカヒビト論第二章 未来に開かれた言葉第三章 大東亜共栄圏におけるイスラーム型天皇制第四章 戴冠する預言者−−ミコトモチ論第五章 内在と超越の一神教 あとがき 初出一覧補論 『死者の書』という場(トポス) 著者から読者へ 解説 斎藤英喜 年譜 著者自筆

著者紹介

安藤 礼二 (アンドウ レイジ)  
1967・6・15〜。文芸評論家、多摩美術大学美術学部教授。東京生まれ。早稲田大学第一文学部(考古学専修)を卒業後、出版社に勤務。2002年「神々の闘争―折口信夫論」が群像新人文学賞評論部門優秀作となる。同作を基にした著書『神々の闘争 折口信夫論』で2006年芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。2009年『光の曼陀羅 日本文学論』で大江健三郎賞と伊藤整文学賞を受賞。2015年『折口信夫』でサントリー学芸賞と角川財団学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)