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異次元緩和の罪と罰

講談社現代新書 2753

出版社名 講談社
出版年月 2024年9月
ISBNコード 978-4-06-537224-1
4-06-537224-0
税込価格 1,210円
頁数・縦 286P 18cm

商品内容

要旨

史上最大の経済実験の重すぎる代償とは。日銀発「危機」の本質が明快にわかる!

目次

第1章 異次元緩和は成功したのか?
第2章 高揚と迷走の異次元緩和 前代未聞の経済実験の11年
第3章 異次元緩和の「罪」その1 すべては物価目標2%の絶対視から始まった
第4章 異次元緩和の「罪」その2 超金融緩和が財政規律の弛緩を生み出した
第5章 異次元緩和の「罪」その3 介入拡大が金融市場をゆがめる
第6章 異次元緩和の「罰」その1 出口に待ち受ける「途方もない困難」
第7章 異次元緩和の「罰」その2 なぜ立ち止まれなかったのか?
第8章 異次元緩和の「罰」その3 国と通貨の信認の行方
第9章 中央銀行を取り戻せ
第10章 中央銀行とは何者か

出版社・メーカーコメント

2024年3月、日本銀行はついに「異次元緩和」に終止符を打った。前総裁氏の就任直後に導入して以来、11年近くもの歳月が流れていた。いま振り返って気づくのは、日本経済が世界に例をみない異形の姿となったことだ。日銀が保有する国債残高は約590兆円に上り、普通国債の発行残高の56%に達する(24年3月末時点)。中央銀行が政府の資金繰りの面倒をみることは、財政規律を維持するための人類の知恵として、世界的に禁じられてきた。市場経済を掲げる国の中央銀行として異例の事態である。財政規律の後退も著しい。IMF(国債通貨基金)の世界経済見通し(2024年4月)によれば、政府の財政状態を示す「一般政府の債務残高対GDP比率(22年見込み)」は257%と、世界約190ヵ国・地域中第2位の高さにある。国と通貨に対する信認は先人たちの努力の積み重ねによって築き上げられてきたものだが、このような財政状態を続けていて、いつまで信認を保ち続けることができるだろうか。外国為替市場では、2024年4月、円・ドル相場が34年ぶりの1ドル=160円まで下落した。24年春の時点の実行実質為替レートは、1971年8月のニクソンショック時よりもさらに円安の水準、すなわち当時の1ドル=360円をさらに下回るレベルまで下落している。多くの日本人にとって、円相場はいまや未知の世界に突入している。これらすべてが日銀のせいというわけではないが、異次元緩和が果たした役割は大きい。にもかかわらず、日銀や政府からはあまり危機感が聞こえてこない。異次元緩和の総括なしにこれからの金融政策を進めていけば、将来再び物価上昇率が低下した際に同じ道を辿る危険性がある。あるいは、物価目標2%にこだわるあまり、さらなる円安など、インフレ圧力への対処が遅れるリスクも否定できない。本書は、異次元緩和の成果を検証するとともに、歴史に残る野心的な経済実験が生み出したものと、それが日本経済と私たち日本人にもたらす痛みと困難、そして、そこからの再生を考えるための試みである。

著者紹介

山本 謙三 (ヤマモト ケンゾウ)  
1954年、福岡県生まれ。76年、日本銀行入行。98年、企画局企画課長として日銀法改正後初の金融政策決定会合の運営に当たる。金融市場局長、米州統括役、決済機構局長、金融機構局長を経て、2008年、理事。金融機構局、決済機構局の担当理事として、リーマン・ショックや東日本大震災後の金融・決済システムの安定に尽力。12年、NTTデータ経営研究所取締役会長。18年からはオフィス金融経済イニシアティブ代表として、講演や寄稿を中心に活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)