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現代日本人の法意識

講談社現代新書 2758

出版社名 講談社
出版年月 2024年11月
ISBNコード 978-4-06-537825-0
4-06-537825-7
税込価格 1,100円
頁数・縦 270P 18cm

商品内容

要旨

「法の支配」より「人の支配」、「人質司法」の横行、「手続的正義」の軽視…。なぜ「法」を尊重しないのか?名著『絶望の裁判所』から10年。規律を重んじる国の「謎」を元判事にして法学の権威が鮮やかに読み解く。

目次

第1章 「現代日本人の法意識」について考えることの意味
第2章 日本法の歴史とその特質―古代から現在まで
第3章 婚姻、離婚、親権、不貞、事実婚、同性婚をめぐる法意識
第4章 犯罪と刑罰・死刑をめぐる法意識―応報的司法から修復的司法へ
第5章 冤罪をめぐる法意識、刑事裁判官・検察官のあり方
第6章 権利、所有権、契約、民事訴訟をめぐる法意識
第7章 司法、裁判、裁判官をめぐる大いなる幻想
第8章 制度と政治をめぐる法意識
第9章 法意識の基盤にある日本の精神的風土

出版社・メーカーコメント

本書は、書名から明らかなとおり、日本人に根付いている「日本人特有の法意識」をテーマとする。私は、裁判官として三十三年間に約一万件の民事訴訟事件を手がけるとともに、研究・執筆をも行い、さらに、純粋な学者に転身してからの約十三年間で、以上の経験、研究等に基づいた考察を深めてきた。この書物では、そうした経験をもつ者としての、理論と実務を踏まえた視点から、過去に行われてきた研究をも一つの参考にしつつ、「現代日本人の法意識」について、独自の、かつ多面的・重層的な分析を行ってみたいと考える。法学者・元裁判官である私が、法律のプロフェッショナルですら満足に答えられないような曖昧模糊とした「法意識」に焦点を合わせた一般向けの書物を執筆したのは、日本固有の法意識、日本人の法意識こそ、私たち日本人を悩ませる種々の法的な問題を引き起こす元凶の一つにほかならないと考えるからだ。そればかりではない。意識されないまま日本人の心理にべったりと張り付いた日本的法意識は、日本の政治・経済等各種のシステムを長期にわたってむしばんでいる停滞と膠着にも、深く関与している可能性がある。その意味では、本書は、「法意識」という側面から、日本社会の問題、ことに「その前近代的な部分やムラ社会的な部分がはらむ問題」を照らし出す試みでもある。この書物で、私は、日本人の法意識について、それを論じることの意味とその歴史から始まり、共同親権や同性婚等の問題を含めての婚姻や離婚に関する法意識、死刑や冤罪の問題を含めての犯罪や刑罰に関する法意識、権利や契約に関する法意識、司法・裁判・裁判官に関する法意識、制度と政治に関する法意識、以上の基盤にある精神的風土といった広範で包括的な観点から、分析や考察を行う。それは、私たち日本人の無意識下にある「法意識」に光を当てることによって、普段は意識することのない、日本と日本人に関する種々の根深い問題の存在、またその解決の端緒が見えてくると考えるからである。また、そのような探究から導き出される解答は、停滞と混迷が長く続いているにもかかわらずその打開策が見出せないでもがき苦しんでいる現代日本社会についての、一つの処方箋ともなりうると考えるからである。

著者紹介

瀬木 比呂志 (セギ ヒロシ)  
1954年、名古屋市生まれ。東京大学法学部卒業。1979年から裁判官。2012年明治大学教授に転身、専門は民事訴訟法・法社会学。在米研究二回。著書に、『ニッポンの裁判』(第二回城山三郎賞受賞)等がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)