• 本

世界文学重層

出版社名 みすず書房
出版年月 2026年4月
ISBNコード 978-4-622-09846-1
4-622-09846-6
税込価格 5,720円
頁数・縦 272,6P 20cm

商品内容

要旨

膨張主義のもと列強が争った帝国主義戦争は、国境、そして言語圏をまたいだ大規模な人的移動を引き起こした。世界各地の地域語の話者とともに、大小さまざまの〈語圏〉もまた、網目をなすように地球を覆い、重なり合ってゆく。租界時代の上海―上海語、北京語、広東語などの中国語に、英語、フランス語、日本語、ドイツ語、ロシア語、ポーランド語、韓国語にイディッシュ語までが入り混じっていた上海で、非日本語との不断の接触・隣接関係の中から生まれた「外地の日本語文学」には、その多言語的状況が否応なく映し出される。朝鮮半島に出処を持つ作家たちが日本語で書く作品がそうであるように、南北アメリカのコリアン作家の作品は、英語やポルトガル語で書かれていたとしても「韓国=朝鮮=高麗語圏文学」の名に値するばかりか、ときに「他者の言語」でありながら一種の「母語(的なもの)」であった「日本語圏」の層を抱えこんでいる。言語の数だけ存在し、それでいて単なる言語割・国民文学割の各国文学の総和を意味しない、複数の〈語圏〉の重層性に支えられた文学、〈世界文学〉としか名づけようのない文学の豊かさがここにある。

目次

多言語都市・上海(二〇一八年夏の「日録」より)
帝国日本のバイリンガルたち(二〇一七年春の「日録」より)
戦後日本でだれが〈異邦人〉だったのか?
イーハトヴの多言語性に関する覚書
日本文学はシベリア出兵をどう受け止めたか
世界文学と日本語の居場所

著者紹介

西 成彦 (ニシ マサヒコ)  
1955年岡山県生れ。兵庫県出身。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化博士課程中退。1984年より、熊本大学文学部講師から助教授、1997年より、立命館大学文学部教授を経て2003年より同大学院先端総合学術研究科教授を歴任。立命館大学名誉教授。専攻はポーランド文学、比較文学。著書『ラフカディオ・ハーンの耳』(岩波書店1993/岩波同時代ライブラリー1998/熊日文学賞)『森のゲリラ 宮沢賢治』(岩波書店1997/平凡社ライブラリー2004/日本比較文学会賞ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)