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靖国問題

ちくま新書 532

出版社名 筑摩書房
出版年月 2005年4月
ISBNコード 978-4-480-06232-1
4-480-06232-7
税込価格 968円
頁数・縦 238P 18cm

商品内容

要旨

二十一世紀の今も、なお「問題」であり続ける「靖国」。「A級戦犯合祀」「政教分離」「首相参拝」などの諸点については、いまも多くの意見が対立し、その議論は、多くの激しい「思い」を引き起こす。だが、その「思い」に共感するだけでは、あるいは「政治的決着」を図るだけでは、なんの解決にもならないだろう。本書では、靖国を具体的な歴史の場に置き直しながら、それが「国家」の装置としてどのような機能と役割を担ってきたのかを明らかにし、犀利な哲学的論理で解決の地平を示す。決定的論考。

目次

第1章 感情の問題―追悼と顕彰のあいだ(激しい遺族感情
一様でない感情の対立 ほか)
第2章 歴史認識の問題―戦争責任論の向うへ(共同体とその他者
「A級戦犯」合祀問題 ほか)
第3章 宗教の問題―神社非宗教の陥穽(感情の問題、再び
政教分離問題 ほか)
第4章 文化の問題―死者と生者のポリティクス(「伝統」としての靖国
江藤淳の文化論 ほか)
第5章 国立追悼施設の問題―問われるべきは何か(「わだかまり」の解決策
不戦と平和の施設? ほか)

おすすめコメント

哲学で斬る「靖国」!二〇〇一年夏、小泉純一郎首相の最初の靖国神社参拝をきっかけに「靖国問題」がまた浮上してきた。しかし、首相の靖国参拝がなぜ問題になるのかをきちんと理解している人は、意外なほど少ない。そもそも、靖国神社とはどのような神社であるのかを知っている人さえ、多いとはいえない。問題解決の糸口は見えず、靖国神社をめぐる対立はますます泥沼化しているように見える。「A級戦犯合祀」「政教分離」「首相参拝」などの諸点については、いまも多くの意見が対立し、その議論は、多くの激しい「思い」を引き起こす。だが、その「思い」に共感するだけでは、あるいは「政治的決着」を図るだけでは、なんの解決にもならないだろう。本書では、靖国を具体的な歴史の場に置き直しながら、それが「国家」の装置としてどのような機能と役割を担ってきたのかを明かにし、犀利な哲学的論理で解決の地平を示す。

内容抜粋

本書「はじめに」より

「靖国」という問題。 それが、どのような問題であるのかを、私たちは本当に知っているのだろうか。 二〇〇一年夏、小泉純一郎首相の最初の靖国神社参拝をきっかけに、「靖国問題」がまた浮上してきた。 しかし、首相の靖国参拝がなぜ問題になるのかをきちんと理解している人は、意外なほど少ない。そもそも、靖国神社とはどのような神社であるのかを知っている人さえ、多いとは言えない。靖国神社がどのようなものであるのかを知らなければ、首相の参拝がなぜ問題になるのかは理解できない。参拝がなぜ問題になるのかを理解できなければ、それに対する自分の意見を持つこともできない。 問題解決の糸口は見えず、靖国神社をめぐる対立はますます泥沼化しているように見える。そんな中で、自分の意見を持ちたい――そう願う読者の一助となることめざして、本書は書かれる。

著者紹介

高橋 哲哉 (タカハシ テツヤ)  
1956年福島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。二十世紀西欧哲学を研究し、哲学者として政治・社会・歴史の諸問題を論究。明晰な論理と批判的思考には定評がある。NPO「前夜」共同代表として、雑誌『前夜』を創刊(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)