[要旨]
西暦289年のローマ帝国。威光の陰りが顕著になった時代。人は老いてその活力が失われるように、ローマの大懐と力能は今や灰燼に帰そうとしていた。われわれの生きた世紀は終焉へと流転する。イタリア半島の巨神山。偶然と必然の記憶。“隠者の小道”それは巨神山に通じる岩山の山道。山頂に住まう一人の隠者。その名はフロンティヌス・アルカディウス。秩序がおりなす邂逅。彼のもと、縁ありて訪ね人きたる。“対話”による契機。神々の天空に近き山嶺における哲学の語らい。ときとして一致し、ときとして対峙する。さあ、探究の道へ。
[目次]
序章 隠者;第1章 幸福;第2章 怨恨;第3章 創作;第4章 邂逅;第5章 対照;第6章 浄化;終章 探究;付録
倉石 清志
(クライシ セイジ)
1975年福岡県生まれ。長崎純心大学大学院博士後期課程修了。博士(学術・文学)。専攻は哲学・文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)