[要旨]
大伴家持の歌日誌を基に構成される末四巻のうち、巻十七と巻十八とを収録。『万葉集』第二部の開幕である。天平十八年秋、勇躍越中に赴いた家持は、歌友大伴池主たちと、旅人・憶良の筑紫歌壇を彷彿とさせる文学的世界を築き上げた。巻十七は第一部にもれた天平二年の歌から同二十年春の歌まで、巻十八は引き続き天平勝宝二年春の歌までを収め、巻五同様、漢文作品にも富む。
[目次]
万葉集 巻第十七(天平二年の庚午の冬の十一月に、大宰帥大伴卿、大納言に任けらえて京に上る時に、〓従等、別に海路を取りて羈旅を悲傷しび、おのもおのも所心を陳べて作る歌十首;天平十年の七月の七日の夜に、独り天漢を仰ぎて、いささかに懐を述ぶる一首(大伴宿禰家持);天平十二年の十二月の九日に、大宰の時の梅花に追ひて和ふる新しき歌六首(大伴宿禰書持);天平十三年の二月に、三香の原の新都を讃むる歌一首併せて短歌(右馬頭境部宿禰老麻呂);四月の二日、霍公鳥を詠む歌二首(大伴宿禰書持) ほか);万葉集 巻第十八(天平二十年の春の三月の二十三日に、左大臣橘家の使者、造酒司令史田辺史福麻呂に、守大伴宿禰家持が館にして饗する時に、おのもおのも心緒を述ぶる歌(田辺史福麻呂(大伴宿禰家持));三月の二十四日、明日に布勢の水海に遊覧せむことを期ひ、よりて、懐を述べておのもおのも作る歌十首(田辺史福麻呂・守大伴宿禰家持);三月の二十五日に、布勢の水海に往くに、道中、馬上にして口号ぶ二首(大伴宿禰家持);三月の二十五日に、水海に至りて遊覧する時に、おのもおのも懐を述べて作る歌十五首(田辺史福麻呂・遊行女婦土師・大伴宿禰家持・掾久米朝臣広縄);三月の二十六日に、掾久米朝臣広縄が館にして、田辺史福麻呂に饗する宴の歌四首(田辺史福麻呂・久米朝臣広縄・大伴宿禰家持) ほか)
新元号「令和」の出典となったことで話題の万葉集。戦後の万葉研究の第一人者にによる、初めての個人全注釈の文庫版。隣接諸学との多様な交流の成果も踏まえた、現代万葉学の集大成。一群の詩の背景、状況をいきいきと語る歌群ごとの釈注。新鮮な感動を呼び起こす充実した内容。家持の歌日誌を基に構成される万葉集第二部の開幕。天平十八年秋、勇躍越中に赴いた家持は、歌友大伴池主たちと、旅人・憶良の筑紫歌壇を彷彿とさせる文学世界を築き上げた。巻十七は天平二十年春の歌まで、巻十八は引き続き天平勝宝二年春の歌までを収める。
伊藤 博 (イトウ ハク)
1925〜2003。長野県生まれ。1952年、京都大学文学部卒業。文学博士。筑波大学教授、共立女子大学教授などを歴任。万葉学会代表を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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4-08-761018-7
万葉集釈注 9
伊藤博/著
集英社
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