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アイロニーはなぜ伝わるのか?

光文社新書 1044

出版社名 光文社
出版年月 2020年1月
ISBNコード 978-4-334-04454-1
4-334-04454-9
税込価格 858円
頁数・縦 218P 18cm

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要旨

遅刻してきた人に対し「ずいぶんとお早いお着きですね」など、言いたいことの逆を言って非難したり、からかったりすることは、日常生活でよくあるのではないだろうか。こうした表現は「アイロニー」といい、「皮肉」と訳されることが多い。しかし、逆のことを言うアイロニーが、なぜ相手に伝わるのだろうか。本書では、文学作品にも多用される、ウィットに富んだ修辞的表現である「アイロニー」の構造に、認知言語学の「メンタル・スペース理論」などからアプローチ。豊富な具体例を挙げながら、現実とは正反対のことを言っているのに、真意が相手に伝わる不思議なコミュニケーションの謎に迫っている。アイロニーは、「期待」と「現実」の対照を相手に示すことで、真意を伝える表現のようだ。著者は、大阪大学大学院言語文化研究科教授で、現代英語圏文学を専門としている。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2020年2月25日]

商品内容

要旨

ある晴れた休日、「今日はお出かけ日和だ」と言って意気揚々とAさんが家族をつれてピクニックに出掛ける。ところが、急に天気が崩れて土砂降りになり、「ほんとに今日はお出かけ日和ね」と家族に言われてしまう。Aさんに対する非難のこもったこの発言がいわゆるアイロニー発話と呼ばれるものの典型とされる。この場合、「アイロニー」に「皮肉」という訳語を当ててもかまわないが、アイロニーは「皮肉」よりも幅広いカテゴリーの修辞的表現である。本書では、この「言いたいことの逆を言う」アイロニーがどうして相手に伝わるのかという問題を考える。現実を相対化するための、知的な「武器としてのアイロニー」の可能性も示す。

目次

第1章 言葉のアイロニー(アイロニーとは何か?
語用論的アイロニー論
アイロニーのこだま理論
ほのめかし理論
偽装理論)
第2章 アイロニーのメンタル・スペース構造(メンタル・スペース理論
アイロニーの多様性を説明する
アイロニーに隣接する修辞法
シグニファイング・モンキー)
第3章 文学作品におけるアイロニー(アイロニーはちゃぶ台をかえす
哲学におけるアイロニー
結果が期待を裏切るとき
アイロニーの意図、転倒する価値
もつれるアイロニーと小説
パロディー、パスティーシュ
虚構スペースで遊ぶということ)

出版社・メーカーコメント

ある晴れた休日、「今日はお出かけ日和だ」と言って意気揚々とAさんが家族をつれてピクニックに出掛ける。ところが、急に天気が崩れて土砂降りになり、「ほんとに今日はお出かけ日和ね」と家族に言われてしまう。Aさんに対する非難のこもったこの発言が、いわゆるアイロニー発話と呼ばれるものの典型とされる。この場合、「アイロニー」に「皮肉」という訳語を当ててもかまわないが、アイロニーは「皮肉」よりも幅広いカテゴリーの修辞的表現である。本書では、この「言いたいことの逆を言う」アイロニーがどうして相手に伝わるのかという問題を考える。現実を相対化するための、知的な「武器としてのアイロニー」の可能性も示す。

著者紹介

木原 善彦 (キハラ ヨシヒコ)  
1967年鳥取県生まれ。大阪大学大学院言語文化研究科教授。専門は現代英語圏文学。京都大学文学部卒業、同大学院文学研究科修士課程・博士後期課程修了。博士(文学)。2019年、ウィリアム・ギャディス『JR』(国書刊行会)で第五回日本翻訳大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)