• 本

俺の上には空がある広い空が

出版社名 マガジンハウス
出版年月 2021年4月
ISBNコード 978-4-8387-3148-0
4-8387-3148-5
税込価格 1,540円
頁数・縦 160P 19cm

商品内容

要旨

20歳に秋に始まった冤罪との闘い。43年7カ月に及んだ歳月は、まったく無駄な時間ではなかった。自分にとって必要な時間だった。無実の罪を着せられて29年間を獄中で過ごす。絶望しながら、人の優しさに触れ、人を想う心を知った。齢74、末期癌。余命宣告を受けた今、伝えたいこと。

目次

強さと優しさに
余命1年の宣告
待つ
事件発覚―20歳 1967年8月30日
夜風に金木犀は香って初めての手錠は冷たかった―20歳 1967年10月10日
人をだました心が自分をも裏切って嘘の自白をした―20歳 1967年10月15日
嘘が真実に変わった 人殺しの犯人だと裁判官が言った(一審判決・無期懲役)―23歳 1970年10月6日
寒い季節よりも冷たい言葉で裁判官が誤りを重ねた(二審判決・控訴棄却)―26歳 1973年12月20日
母が逝った それでも春風が吹いた―30歳 1977年3月20日
看守の鋭い足音が最高裁判所の決定を運んで来た 刑務所生活が始まった(最高裁上告棄却・千葉刑務所に服役)―31歳 1978年7月3日〔ほか〕

出版社・メーカーコメント

やってない強盗殺人事件で罪を着せられて、無罪と認められるまで43年7カ月。そのうち29年間を獄中で過ごした。現在、74歳。 一昨年に癌が見つかり、医師からは余命1年と宣告された著者が、獄中で書き綴った自作の詩とともに、今伝えたい思いをまとめた。絶望しながら、人の優しさに触れ、人を想う心を知った苦しみに耐えた人が   もし強くなれるのならば  私の強さは無類だろう   自由を縛られた刑務所の中で   二十代を失い三十代を失って    今、四十五歳ひたすらに耐えてきた二十五年   苦しみに耐えてきた人が強くなれるのならば  私の強さは無類だ悲しみに耐えた人が  もし優しくなれるのならば  私の優しさは底なしだろう人間の心をも断ち切る刑務所の中で  母も失い   今、父も失って  何もできないままにひたすらに耐え続ける歳月  悲しみに耐えた人が優しくなれるのならば   私の優しさは底なしだ  (中略)もし私に強さと優しさがあるとすれば  それは耐え忍んだ月日によるものではない人間の人間として強さが  人間の人間として優しさが  どこにあるかを教えてくださる人によるのだきっと   私に強さと優しさを与えてくれたものは   人間の祈りと願いの力だ   (「強さと優しさに」1992年3月より) 20歳の秋に始まった冤罪(えんざい)との闘い。43年7カ月に及んだ歳月は、無駄ではなかった。自分にとって必要な時間だった

著者紹介

桜井 昌司 (サクライ ショウジ)  
1947年栃木県生まれ。高校中退後いくつかの職を転々とする。67年茨城県北相馬郡利根町布川で起きた強盗殺人事件の容疑者として逮捕され、78年に無期懲役確定。29年間を獄中で過ごし、96年仮釈放。利根町に住み、土木建設会社に勤務する傍ら、第二次再審請求申し立てに向けて準備を進める。2001年第二次再審請求申し立て。05年地裁による再審開始決定。09年特別抗告棄却で最高裁による再審開始確定。11年無罪判決。事件後、43年7カ月を経てようやく無実が認められる。服役中から詩作と作曲に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)