• 本

陰陽師と天狗眼 〔5〕

クシナダ異聞・女神の章

ことのは文庫

出版社名 マイクロマガジン社
出版年月 2025年5月
ISBNコード 978-4-86716-757-1
4-86716-757-6
税込価格 847円
頁数・縦 351P 15cm
シリーズ名 陰陽師と天狗眼

NetGalley 会員レビュー

レビュアー

おすすめ度おすすめ度★5

前巻では『特別な人』である美郷の辛さに焦点を当てた物語は、今巻では『普通の人』である広瀬や由紀子の辛さに当てられます。家庭に問題があるわけでは無く、経済的にも恵まれている。二人は、『特別な』人達の辛さへの遠慮から自分の辛さを口に出すことなく飲み込んでしまいます。そんな二人の周囲の辛さは今はリアルよりネットの方に多く見られるのかもしれません。嘘か誠か真偽のつかない『特別な辛さ』や、刺々しい言葉、一方的な価値観を押し付ける論調。それらに巻き込まれたり、偶然に見てしまって、ひっそりと傷ついてしまう人達にも、美郷が広瀬にかけた言葉を、広瀬が由紀子にかけた言葉を届けてあげられたら、と思いました。

レビュアー

おすすめ度おすすめ度★5

ただのもののけの物語ではなく、人としてどう成長していきたいのか、どう関係を気築いていきたいのか、本当の気持ちをどう伝えたらいいのかという、今回も人間の心模様の描かれ方がとても深かったです。今「辛い」と感じるならそれを言葉にして吐き出してしまおうと思うと心が軽くなりました。前作で初めて広島の神楽のことを知りましたが、今作も神楽の話がたっぷり出てきます。そして参考文献の多さにもびっくりです。いつかぜひ本物の神楽を見に行きたいと思いました。

レビュアー

おすすめ度おすすめ度★5

前巻で大切な友人・広瀬を思いやるあまり、また自身の在り様への不安から弱さを露呈し、唯一無二の相棒・怜路の存在に救われた美郷だが、この巻では本来の強さを発揮する。なかでも、自分を裏切った世界を忌みながら、それでもそこに在ることを望み続けた美郷が、自分と世界との関係を修復できる可能性に気づいた時に動いたことは、特筆に値する。それがもたらした結果は、「おんてん」全体に対する私の見方をガラリと変えてしまうほど大きなものだった。詳細は述べないが、元々大好きだったこの作品を更に好きになった。そしてこの相棒コンビを好きな人なら間違いなく歓喜する、美郷の大きな変化は他にもあるので、是非ご覧いただきたい。

上記レビューの提供元:NetGalley(株式会社メディアドゥ)

NetGalleyとは、本を応援するWEBサイトです。
・サイト上には、出版社が発売前の本のゲラやイチオシ既刊本を掲載しています。
・読んでみたい作品にリクエストを送り、出版社に承認されること、読むことができます。
・読んだ作品にレビューやコメントを書くことで、出版社へ直接メッセージを届けることができます。
詳しくはこちら ※e-honとは別サイトに移動します

商品内容

要旨

怨鬼のとり憑いた「神楽面」を取り逃がした美郷たち「広島県巴市役所特殊自然災害係」。事件の起きた安芸鷹田の市役所や警察官などをはじめ、これまでにないレベルで「一般人」を巻き込み、事件解決へとむけて再始動するが、まさにその一般人である大学生の由紀子にも、怨鬼の魔の手は忍び寄って来ていて―。「知らしめましょうぞ。ここに、怨みのあることを」誰からも、自分からも知られることなく、それでも確かに在り続けた想いの化身に、美郷と怜路、そして広瀬が真正面から向かい合う―!

出版社・メーカーコメント

公務員陰陽師とフリーランス山伏が、すべての元凶である神楽面の鬼と対峙する−−。広島が舞台の大人気もののけファンタジー第5弾!

著者紹介

歌峰 由子 (ウタミネ ヨシコ)  
広島県出身。大学は生命科学を専攻したゴリゴリの理系だが、何故か伝奇ものの執筆を好み、自室の本棚は郷土誌と民俗・オカルトの本で埋まる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)