書店レビュー
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地図と拳 上
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- ほんのいえ宮脇書店越谷店 (埼玉県越谷市)
現代文学の代表作が待望の文庫化。
日露戦争前夜から第二次大戦までの満洲が舞台。博覧強記な作家の脳から紡ぎ出された壮大にして緻密な物語に吸い込まれていく。巻末に記された膨大な参考文献は驚くばかりである。小川哲の叫びを噛みふくめるように読んでいると、文庫上下巻700頁を超えるボリュームも時を忘れてしまう。戦争を考える夏、読むべき名著がここにある。(2025年8月14日)
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商品内容
要旨 |
日露戦争前夜の1901年。満洲の広大な土地は、誰のものでもなかった。ロシアとの開戦の可能性を探るために海を渡った密偵・高木は、李家鎮という村に大量の石炭資源が眠ることを知る。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父・クラスニコフ、馬賊を束ねる李家鎮の王・孫悟空…。「燃える土」をめぐり殺戮の半世紀を生きた彼らは、白紙の地図にどんな夢を描いたのか。第168回直木賞受賞作。 |
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出版社・メーカーコメント
【第168回直木賞受賞作】【第13回山田風太郎賞受賞作】「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」日本からの密偵に通訳として帯同した細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。桃源郷の噂に騙されて移住した孫悟空。地図に描かれた存在しないはずの島を探し、海を渡った須野。日露戦争前夜、満洲の名もなき都市に呼び寄せられた人々は、「燃える土」をめぐり殺戮の半世紀を生きる。広大な白紙の地図を握りしめ、彼らがそこに思い描いた夢とは−−。【著者紹介】1986年千葉県千葉市生まれ。2015年「ユートロニカのこちら側」で第3回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞しデビュー。2017年『ゲームの王国』で第38回日本SF大賞、第31回山本周五郎賞を受賞。22年『地図と拳』で第13回山田風太郎賞、翌年同作で第168回直木三十五賞を受賞。同年『君のクイズ』で第76回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門を受賞。その他の著書に『嘘と正典』『君が手にするはずだった黄金について』『スメラミシング』など。