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横丁の名探偵

創元推理文庫 Mん14−2 犯人当て小説傑作選

出版社名 東京創元社
出版年月 2025年11月
ISBNコード 978-4-488-40068-2
4-488-40068-X
税込価格 990円
頁数・縦 299P 15cm

商品内容

要旨

ミステリ作家たちが工夫を凝らし、読者と頭脳戦を繰り広げる犯人当て小説。その傑作の数々から“読者への挑戦”ものを中心に精選し、全3巻のアンソロジーに集成した。第2巻には長屋のご隠居が掛軸泥棒を見抜く仁木悦子「横丁の名探偵」、恩人の息子捜しが殺人事件に発展する巽昌章「埋もれた悪意」、犯人当て短篇を作中に挟んだ今邑彩「時鐘館の殺人」など全7篇を収録する。

出版社・メーカーコメント

ミステリ作家たちが工夫を凝らし、読者と頭脳戦を繰り広げる犯人当て小説。その傑作の数々から“読者への挑戦”ものを中心に精選し、全3巻のアンソロジーに集成した。第2巻には、長屋のご隠居が掛軸泥棒を見抜く仁木悦子「横丁の名探偵」、遺産相続人の真偽調査が殺人事件に発展する巽昌章「埋もれた悪意」、犯人当て短篇を作中に挟んだ今邑彩「時鐘(とけい)館の殺人」など全7篇を収録。大胆にして緻密な仕掛けを操り、多彩な角度から意表を突く作品群に、あなたは何度も驚かされるだろう。本格ミステリならではの愉悦を存分に味わってください。

著者紹介

仁木 悦子 (ニキ エツコ)  
1928年東京府(現在の東京都)生まれ。四歳の時に胸椎カリエスを発症し、幼少期からベッドと車椅子での生活を送る。宮沢賢治の作品を愛読して童話を書くようになり、54年に「白い雲・黒い雲」で『こどもクラブ』の懸賞に入選。本名の大井三重子名義で児童文学を手掛ける傍ら、姉の影響で海外ミステリに接し、河出書房の〈探偵小説名作全集〉の公募に『猫は知っていた』を投稿。同作は第一席に入選するも版元の事情で出版されず、江戸川乱歩の計らいで第三回江戸川乱歩賞の候補になり、57年年に同賞に選ばれた。仁木雄太郎と悦子の兄妹が活躍する同作はベストセラーを記録し、58年に大映で映画化されている(監督=島耕二、主演=仁木多鶴子)。仁木は乱歩の選評をもとに「日本のクリスティー」と称されたが、明るい筆致の〈仁木兄妹〉シリーズだけではなく、私立探偵・三影潤を主役とするハードボイルドにも秀作が多い。81年に「赤い猫」で第三十四回日本推理作家協会賞を受賞。86年逝去
石沢 英太郎 (イシザワ エイタロウ)  
1916年内地生まれ、中華民国大連市育ち。大連商業学校を卒業後、満鉄(南満州鉄道)の子会社である満州電業に入社。48年に日本へ引き揚げ、京都と東京を経て福岡に居を構え、九州経済調査協会に勤務。63年に「つるばあ」が第十六回宝石短篇賞の佳作に選ばれ、66年に「羊歯行」で第一回双葉推理賞に輝いた。69年に専業作家に転じ、翌年に歴史ミステリ集『謀鬼 私説黒田騒動』(文庫化時に『謀鬼』と改題)で単行本デビュー。77年に「視線」で第三十回日本推理作家協会賞を受賞。人情派の熟年刑事・牟田一郎の仕事を描く〈牟田刑事官〉シリーズは、83年から2007年にかけて三十三本のテレビドラマ版が作られた(主演=小林桂樹)。晩年は脳梗塞の後遺症で入退院を繰り返し、1988年に逝去。息子にSF作家の野阿梓がいる
巽 昌章 (タツミ マサアキ)  
1957年三重県生まれ。京都大学法学部卒。ミステリの評論や創作を手掛け、2007年に『論理の蜘蛛の巣の中で』で第六十回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)と第七回本格ミステリ大賞(評論・研究部門)を受賞
泡坂 妻夫 (アワサカ ツマオ)  
1933年東京府(現在の東京都)生まれ。都立九段高校定時制卒。家業の紋章上絵師を継ぎながらも、邪宗門奇術クラブで多くの創作奇術を案出し、69年に第二回石田天海賞を受賞。76年に第一回幻影城新人賞佳作「DL2号機事件」でデビュー。同年に初長篇『11枚のとらんぷ』を発表し、78年に『乱れからくり』で第三十一回日本推理作家協会賞、82年に『喜劇悲奇劇』で第九回角川小説賞、88年に『折鶴』で第十六回泉鏡花文学賞、90年に『蔭桔梗』で第一〇三回直木賞を受賞。圧倒的な発想力と遊び心を持ち、ミステリ史に大きな足跡を残した稀代のエンターテイナーである。2009年逝去
中西 智明 (ナカニシ トモアキ)  
1967年福井県生まれ。同志社大学在学中、趣味のカードマジックがきっかけで綾辻行人と知り合い、京都大学推理小説研究会に入会。90年に『消失!』でデビュー。奇抜なトリックは賛否両論を呼んだが、真相と構成が有機的に結びつき、謎解きの核心が別にあったことは再認識されるべきだろう
今邑 彩 (イマムラ アヤ)  
1955年長野県生まれ。都留文科大学英文科卒。88年から翌年にかけて『小説時代』のショートショートコンテストに「お見合い」「あるボランティア活動」「Yの悲劇」(いずれも今井恵子名義)が採用され、89年に〈鮎川哲也と十三の謎〉の公募企画“十三番目の椅子”の最優秀作品『卍の殺人』でデビュー。2013年逝去
岡嶋 二人 (オカジマ フタリ)  
井上泉と徳山諄一の合作ペンネーム。井上泉は1950年福岡県生まれ。徳山諄一は1943年東京都生まれ。徳山の提案で小説の合作を始め、映画『おかしなニ人』をもじって岡嶋二人の筆名を付けた。81年に『あした天気にしておくれ』が第二十七回江戸川乱歩賞の最終候補に残り、翌年に『焦茶色のパステル』で第二十八回の同賞を受けてデビュー。89年にコンビを解消した後、井上は井上夢人名義で小説を書き、徳山は田奈純一名義でテレビ番組のトリックメーカなどを担当した。徳山は2012年に逝去している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)