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世界はさわらないとわからない 「ユニバーサル・ミュージアム」とは何か

平凡社新書 1008

出版社名 平凡社
出版年月 2022年7月
ISBNコード 978-4-582-86008-5
4-582-86008-7
税込価格 1,034円
頁数・縦 269P 18cm

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要旨

先天的、あるいは病気や事故で視覚に障害を持った人たちのことを、つい「かわいそう」「不幸」と捉えがちではないだろうか。確かに日常生活で支障をきたすことも多い一方で、彼らは、目が見える人には得られない感覚や能力を得ているという見方もできる。その最たるものが、点字を操るといった「触覚」である。本書では、「ユニバーサル・ミュージアム=誰もが楽しめる博物館」を提唱する全盲の人類学者が、自ら企画・運営にあたり、2021年9月に開催した特別展「ユニバーサル・ミュージアム──さわる!“触”の大博覧会」の解説を中心に、有識者らとの対談を交えながら、「さわること」の無限の可能性を語っている。コロナ禍により予定されていた開催期間から1年延期されて開催されたこの特別展では、「非接触」が推奨される社会状況だからこそ「さわること」の大切さを発信しなければ、との決意のもと「非接触社会から触発は生まれない」をスローガンにしていたという。著者は国立民族学博物館准教授。13歳の時に失明し、筑波大学附属盲学校から京都大学に進学。2000年、同大学院にて文学博士号取得。専門は日本宗教史、触文化論。著書に『目に見えない世界を歩く』(平凡社新書)、『それでも僕たちは「濃厚接触」を続ける!』(小さ子社)などがある。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2022年9月13日]

商品内容

要旨

「ユニバーサル・ミュージアム=誰もが楽しめる博物館」を掲げ展覧会やワークショップの開催に取り組んできた盲目の人類学者が二〇二一年、満を持して企画した大規模展覧会「ユニバーサル・ミュージアム―さわる!“触”の大博覧会」。しかし想定外の新型コロナ禍が展覧会を直撃する―。その前後、触常者として生きる著者は何を考え、何を語ったのか。さわれない時代にこそ問う「さわること」の無限の可能性。

目次

はじめに 「さわれない」時代の「さわらない」人々へ
第1部 書く―手と頭を動かす(失明得暗―新たな「ユニバーサル」論の構築に向けて
コロナ禍と特別展―二〇二一年を振り返る
踊るようにさわる、さわるように躍る
二一世紀版「耳なし芳一」
障害当事者発のソーシャル・インクルージョンの実現に向けて―誰もが楽しめる「さわる写真」の制作と鑑賞 ほか)
第2部 話す―口と体を動かす(暮らしと文化の役割―服部しほり、マクヴェイ山田久仁子、安井順一郎との対話
障害/健常境界はあるか―高橋政代との対話
他者理解の先にあるもの―岩崎奈緒子との対話
スポーツの楽しみ―竹下義樹との対話
古典芸能ルーツと未来―味方玄との対話 ほか)
おわりに 「誰一人取り残さない社会」は幸せなのか

出版社・メーカーコメント

豊かな感覚の文化を育てるため、新型コロナ禍のいまこそ、われわれは世界にさわらなければいけない──。全盲の触文化研究者が問う「さわること」の意義と無限の可能性。

著者紹介

広瀬 浩二郎 (ヒロセ コウジロウ)  
1967年、東京都生まれ。国立民族学博物館准教授。自称「座頭市流フィールドワーカー」「琵琶を持たない琵琶法師」。13歳の時に失明。筑波大学附属盲学校から京都大学に進学。2000年、同大学院にて文学博士号取得。専門は日本宗教史、触文化論。「ユニバーサル・ミュージアム」(誰もが楽しめる博物館)の実践的研究に取り組み、“触”をテーマとするイベントを全国で実施。21年、国立民族学博物館において特別展「ユニバーサル・ミュージアム―さわる!“触”の大博覧会」を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)