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九龍城寨の歴史

出版社名 みすず書房
出版年月 2022年10月
ISBNコード 978-4-622-09516-3
4-622-09516-5
税込価格 4,620円
頁数・縦 19,259P 20cm

商品内容

要旨

“九龍城”―かつてその地には城壁が築かれ、海賊やアヘン密輸の取り締まりの拠点とされていた。その建造から伝説の巨大スラムとなるまでの歴史を紐解く。

目次

九龍という地名の由来といくつかの伝説
康煕帝が九龍村に〓台を設置する
九龍寨砲台と海賊張保仔
アヘン戦争期の九龍寨の戦略的地位
九龍寨に城壁を築くこととなった内外の要因
九龍寨に城壁が築かれた〓末
城寨の官員の管轄地域
九龍城寨からの密偵黄墨洲
羅亜添による九龍城寨陥落の真相
九龍城寨を奪還した副将張玉堂
龍津石橋と初期の城寨における賭博場
九龍城寨と広東税関の税務健全化
清朝政府が九龍城寨を保留した背景
一八九九年以降の九龍城寨
暗黒時代の九龍城寨
九龍城寨の道の名前の由来
付録 九龍城寨取り壊し関連資料

出版社・メーカーコメント

1997年の香港返還を前にして解体されたにもかかわらず、今なお伝説的巨大スラムとして語り継がれる〈九龍城〉。要塞のごときビル群が聳えていたこの地には、かつて本当に城壁を備えた砦が築かれていた。九龍は、明代後期にはすでに倭寇防衛のための兵力が駐留し、清代以降も、遷界令解除後に辺境防衛の拠点とされた。やがて清朝政府が海賊やアヘン密輸への対処を迫られるようになると、その重要性は高まり、軍備が増強された。アヘン戦争後、香港島がイギリスに割譲され、植民地香港が誕生すると、九龍城寨の官員はその動向を偵察する役割も担うようになる。そして1898年の新界割譲の際、この城寨だけが中国領として保留されたことで、その地位はますます特殊なものとなった。その後城寨が清朝の実質的な管理下から離れ、中英間ではしばしばその領有が争われたものの、民国期の中国国内の混乱や日中戦争の開戦の陰でこの問題は捨て置かれた。そして戦後、この領域は、植民地香港の中にありながら香港政庁もイギリス政府も中国政府も管轄できない「三不管(サンブーグアン)」の地と化していった。香港の郷土史に精通したジャーナリストが、九龍城寨の成立から解体までを紐解く。

著者紹介

魯 金 (ロ キン)  
1924年マカオ生まれ。本名は梁涛。広東、香港、マカオ等の新聞社で50年にわたりジャーナリズムに従事。抗日戦争後に香港に定住し、以後香港の歴史や民間の習俗について著述活動を行う。1995年没
倉田 明子 (クラタ アキコ)  
埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒。同大学院総合文化研究科博士課程満期修了。博士(学術)。東京外国語大学総合国際学研究院講師を経て同准教授。2003〜06年を香港で過ごす。専門は中国・香港近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)