• 本

「やさしさ」の免罪符 暴走する被害者意識と「社会正義」

出版社名 徳間書店
出版年月 2024年3月
ISBNコード 978-4-19-865775-8
4-19-865775-0
税込価格 2,420円
頁数・縦 411P 19cm

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要旨

ネット上の言論空間では、有益な交流が行われる一方で、抗議や非難、罵倒がある対象者に集中する、「炎上」と呼ばれる現象がよく発生する。元は些細なことでも、当事者の自殺や社会的地位の喪失につながることもある。そうした発言の多くは「社会正義=弱者へのやさしさ」からくるものであったりもする。本書では、人を襲ったクマの駆除に対する抗議、BLM運動、ALPS処理水海洋放出問題、反ワクチンなど炎上や風評被害の事例を挙げながら、被害者であった「弱者」が、「ポリティカル・コレクトネス」や社会正義を掲げるメディアやネット上の第三者から共感を得て、それを武器に「強者」となり、他者を激しく攻撃することで新たな被害者=弱者を生み出す、現代の歪んだ社会構造を分析。それに抗うために何をしたらいいのか、具体的に提言している。社会学者の研究によると、従来の社会には「名誉の文化」と「尊厳の文化」があり、人々の争いごとなどについて利害関係者のバランスをとっていたが、近年はこれらに代わって「被害者文化」が台頭してきているという。著者は1979年生まれ、福島県出身・在住の著述家・ジャーナリスト。著書に『「正しさ」の商人 情報災害を広める風評加害者は誰か』(徳間書店)などがある。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2024年5月24日]

商品内容

要旨

能登半島地震、ALPS処理水、表現キャンセル、ワクチン―「情報災害」と「風評加害」は再び繰り返される。「社会正義」を掲げる身勝手な「やさしさ」が、あらゆる社会問題を解決困難にする。不平等な正義を売りつける「正しさ」の商人は誰だ?

目次

第1章 被害者文化という侵略者
第2章 処理水海洋放出と情報災害
第3章 海外からの加害行為
第4章 風評加害との対峙
第5章 「やさしさ」は福島のためか
第6章 はずれた予言がもたらすもの
終章 能登半島地震と情報災害

出版社・メーカーコメント

能登半島地震表現・出版へのキャンセルALPS処理水海洋放出原発再稼働ワクチン…情報災害はなぜ再び繰り返されるのか?被害者を護る「優しさ」を掲げて行動すれば当事者の現実と乖離しても「正しい」のか?救われるべき弱者・被害者を決めているのは誰?身勝手な「社会正義」と安易な優しさを免罪符に掲げた風評加害者は流言蜚語は拡散を続ける。国内にはびこるメディア、活動家、政治家らデマゴーグ中・韓・北・露など国家規模の風評加害と我々はどう闘うべきか。『「正しさ」の商人』で注目の気鋭、最新刊。<目次>第1章 被害者文化という侵略者「絶対的弱者性」は免罪符になるのか「社会運動」は何を達成すれば終わるのかファクトよりも感情が正当化される善と悪、敵と味方の二元論で語る危うさ「被害者文化」に蝕まれる「社会正義」・他第2章 処理水海洋放出と情報災害被災地の声を踏みにじった「社会正義」「フクシマ」神話とオリエンタリズム東京新聞は「なぜIAEA考査に触れないか」権力監視は「事実を伝える」ことより優先・他第3章 海外からの加害行為国連広報センターが処理水へのフェイクを拡散北朝鮮に踊らされた韓国社会東京五輪に向けられた非常識な偏見と捏造情報伊達市及び市議会に「偏見差別の拡散」を糾す「被曝の世界チャンピオン」独公共放送の悪辣 他第4章 風評加害との対峙『「食べて応援」は自殺行為』をめぐって「日本の基準値は安全とは言えない」のか「汚染」呼ばわりに加担し続ける国会議員達「根拠を示せ」と朝日新聞記者からの挑発「被曝で鼻血」を訴えつつ、病院にも行かない人々他第5章 「やさしさ」は福島のためか海洋放出で炙り出された「立場」と「本音」公教育の場で平然と広がる「嘘と偏見」声を聞くべき弱者と、対応されるべき被害災禍の中で宗教が果たすべき役割とは・他第6章 はずれた予言がもたらすもの「宗教の代替」と化した「社会正義運動」先鋭化していく歪んだ正義感ターゲットを変えて繰り返される「予言」メディアの暴走を誰が止めるのか他終章 能登半島地震と情報災害能登地震での印象操作を糾す忘れるな!「デマは人を殺す」政府と外務省による誤情報への反撃田中角栄の言葉と社会への希望・他

著者紹介

林 智裕 (ハヤシ トモヒロ)  
1979年生まれ。福島県出身・在住の著述家・ジャーナリスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)