ミシンと金魚
集英社文庫 な72−1
| 出版社名 | 集英社 |
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| 出版年月 | 2024年5月 |
| ISBNコード |
978-4-08-744645-6
(4-08-744645-X) |
| 税込価格 | 605円 |
| 頁数・縦 | 169P 16cm |
商品内容
| 要旨 |
「カケイさんは、今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」。ある日、ヘルパーのみっちゃんから尋ねられた“あたし”は、絡まりあう記憶の中から、その来し方を語り始める。母が自分を産んですぐに死んだこと、亭主が子どもを置いて蒸発したこと、赤ん坊を背負いながら毎日毎日ミシンを踏んだこと…。諦念と悔悟を抱えた老女が、最期に手にした幸福とは―。第45回すばる文学賞受賞作。 |
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出版社・メーカーコメント
【第45回すばる文学賞受賞作】【選考委員絶賛!】小説の魅力は「かたり」にあると、あらためて感得させられる傑作だ。−−奥泉光氏この物語が世に出る瞬間に立ち会えたことに、心から感謝している。−−金原ひとみ氏ただ素晴らしいものを読ませてもらったとだけ言いたい傑作である。−−川上未映子氏(選評より)【絶賛の声続々!】「言葉にならない」が言葉になっていた。掴んだ心を引き伸ばして固結びされたみたい。今もまだ、ずっとほどけない。−−尾崎世界観氏(ミュージシャン)いまだに「カケイさん」の余韻が、胸の奥をふわふわと漂っています。生きることの全てが凝縮されている、とてもいい物語でした。−−小川糸氏(作家)カケイさんの心の中の饒舌に引き込まれているうちに、小説としてのおもしろさと力強さに頭をはたかれました。読み終わった時には、自分自身が癒されて、私ももっと小説を書きたい、頑張りたい、と強く思いました。−−原田ひ香氏(作家)カケイさんの中に亡き祖母を見た。祖母もきっと見ただろう花々に私も出逢えると信じて、これからも生きてゆこう。−−町田そのこ氏(作家)認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。父から殴られ続け、カケイを産んですぐに死んだ母。お女郎だった継母からは毎日毎日薪で殴られた。兄の勧めで所帯を持つも、息子の健一郎が生まれてすぐに亭主は蒸発。カケイと健一郎、亭主の連れ子だったみのるは置き去りに。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続けるカケイの腹が、だんだん膨らみだす。そして、ある夜明け。カケイは便所で女の赤ん坊を産み落とす。その子、みっちゃんと過ごす日々は、しあわせそのものだった。それなのに−−。暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟……絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。【著者略歴】永井みみ ながい・みみ1965年神奈川生まれ。2021年『ミシンと金魚』で第45回すばる文学賞を受賞しデビュー。同作は三島由紀夫賞、野間文芸新人賞にノミネートされ、「ダ・ヴィンチ編集部が選ぶプラチナ本OF THE YEAR! 2022」に選出された。その他の著書に『ジョニ黒』がある。