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ヒューマンエラーは裁けるか 安全で公正な文化を築くには

新装版

出版社名 東京大学出版会
出版年月 2024年6月
ISBNコード 978-4-13-053036-1
4-13-053036-4
税込価格 3,300円
頁数・縦 268,8P 19cm
シリーズ名 ヒューマンエラーは裁けるか

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要旨

ヒューマンエラーが人の生死にもかかわる専門職に、医師や看護師といった医療職、航空機パイロットや管制官などが挙げられる。日本では、1年におよそ1,300~2,000件の、死亡を伴う医療事故が発生するという試算もある。医療事故で当事者の医師などが処罰されることがあるが、それは「公正」なのだろうか。2007年に刊行された『JUST CULTURE(公正な文化)』の翻訳書である本書では、ヒューマンエラーによる事故やインシデントに対し、当事者を裁く以外の、組織の学習と改善に結びつく対処と、それによって培われる「公正な文化」について、多くの事例を挙げながら論じている。過失の原因を当事者(担当した医師や看護師、事故機のパイロットなど)のみに帰することは、ほとんどの場合できない。システムや慣習、人間関係などさまざまな要因が複雑に絡み合っていることが珍しくないからだ。だが、往々にして訴訟では当事者個人が罪に問われ、その結果、その後の安全にかかわる失敗報告がなされなくなることもあるという。著者は、豪グリフィス大学教授、クイーンズランド大学名誉教授。人間工学、安全システムを専門とする。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2024年8月9日]

商品内容

要旨

組織が学習・前進する前向きな「責任」の取り方とは?豊富な事例から、「失敗」を報告しやすい文化と情報開示の重要性を説き、懲罰優先の思想に一石を投じた名著を新装版化!日本の航空・鉄道・医療事故に関する解説を監訳者が書き下ろし。

目次

プロローグ 看護師のエラーが犯罪となるとき
なぜ公正な文化が必要なのか?
失敗をとがめるべきか許すべきか?
報告の重要性と報告のリスク
情報開示の重要性と情報開示のリスク
すべての失敗は同等か?
後知恵による責任追及
悪いことをしていないならおそれる必要はない?
検察官がいなければ犯罪は存在しない
裁判は安全を害するか?
公正さを追求する裁判の関係者たち
公正な文化に対する三つの問い
「個人かシステムか」から「システムの中の個人」へ
公正な文化を構築するためのアプローチ

著者紹介

デッカー,シドニー (デッカー,シドニー)   Dekker,Sidney
ルンド大学教授を経てグリフィス大学教授、Ph.D.ヒューマンエラー、システム安全、失敗に対する刑事罰の可否などに関する多くの著論がある
芳賀 繁 (ハガ シゲル)  
株式会社社会安全研究所技術顧問・立教大学名誉教授。博士(文学、京都大学)。京都大学大学院修士課程修了後、鉄道労働科学研究所、鉄道総合技術研究所、立教大学現代心理学部などを経て、2018年4月から現職。安全マネジメントや安全教育に関する研究、執筆、コンサルティング、講演活動等を行っている。専門は産業・組織心理学、交通心理学、人間工学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)