• 本

わたし、わかんない

出版社名 講談社
出版年月 2025年4月
ISBNコード 978-4-06-538952-2
4-06-538952-6
税込価格 1,540円
頁数・縦 218P 20cm

NetGalley 会員レビュー

レビュアー

おすすめ度おすすめ度★5

学校で「わかんないちゃん」と嗤われている小四の中。自分の気持ちに正直になればなるほど、クラスでの居心地は悪くなる。生きていれば子どもも大人も、どうにもならない「わからない」ことがたくさん生じる。その気持ちとじっと向き合うことができる中は、偉いと思う。「わからない」に行き着くまでの思考がちゃんとあるからだ。中の幼なじみのセンくんの個性もすてきだ。中のハハとチチも、自分たちのこれからのために別居することにした、我が道を行く人たち。中の選択や希望を優先してくれる両親のスタンスが好きです。何も解決はしていないけれど、中が一歩を踏む出したことは確かなこと。

レビュアー

おすすめ度おすすめ度★5

不適応ですって!?間違っているのはどちらなのか?共感のあまり、ひたすらそう感じました。個性を受け容れることの大切さが芯にまで響いてくる物語です。主人公は学校になじめない小学四年生。みんなと同じにできないことに葛藤する少女の日常が胸に迫りました。けれど彼女は恵まれているようにも感じましたよ。それはこのうえなく優しい心を育んできたこと。悩んだり苦しんでいる人へ主人公がかけるまっすぐな言葉を見てください。辛いときこんなことを言われたいと渇望するようなセリフが当たり前のような自然さで彼女の口からこぼれ出ますから。小学生向けの本とあなどるとたぶん驚くことになると思います。

レビュアー

おすすめ度おすすめ度★5

とてもおもしろくて一気に読みました。私は中ちゃんとは全然違う小学生でしたが、中ちゃんの気持ちがとてもリアルに伝わってきました。登場人物がみな、魅力的です。センちゃん、いいです。彼の苦しみもよくわかりました。ハハもチチも暖かくて、生きづらさをかかえている中ちゃんの大きな心の支えになっているのが救いです。この作者の作品を読んだのは初めてですが、是非他の作品も読んでみたいと思いました。すてきな作品をありがとうございました。

上記レビューの提供元:NetGalley(株式会社メディアドゥ)

NetGalleyとは、本を応援するWEBサイトです。
・サイト上には、出版社が発売前の本のゲラやイチオシ既刊本を掲載しています。
・読んでみたい作品にリクエストを送り、出版社に承認されること、読むことができます。
・読んだ作品にレビューやコメントを書くことで、出版社へ直接メッセージを届けることができます。
詳しくはこちら ※e-honとは別サイトに移動します

商品内容

要旨

学校で「わかんないちゃん」と呼ばれている少女・中と、「まじめでなくなることが夢」という幼馴染のセンくん、別居し新しい生活をはじめた中の両親、大人達も子ども達も「わかんない」を抱え、それぞれの居るべき場所と答えを探していく。

出版社・メーカーコメント

「ここはいやだとおもう気もち、わたし、ちょっとだけわかる。」野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化賞大賞、IBBYオナーリスト賞など数々の賞を受賞する岩瀬成子氏の最新長編作品。校舎を見上げると、二階の窓から女の子が体を半分のりだして、いまにも飛びおりようとしていた。またあの子だ。〈あー〉声にはださずにさけぶ。〈飛んじゃだめ〉髪に黄色いリボンをむすんでいるその子にむかってさけぶ。ーー学校で、みんなのなかにまじりこんでいるとおもっていても、気がついたら、いつもみんなの外にいる。校舎からでて、ふりむいた。そして、あの二階の窓を見あげた。窓はあいているけれど、あの女の子のすがたはなかった。ーーー「そんとき、いやだ、いやだ、いやだ、って声が体のなかからきこえたんだ。その言葉がわたしの体をぐるぐるまきにしているのがわかったの」「ぼくね、中ちゃんのそういうとこ、うらやましいよ。ぼくだって、いやだなあっておもうことはあるよ。だけど、どうしても、いわれたとおりにしてしまうんだ」本文より。あらすじ教室で「わかんない」といつも答えてしまうから学校で「わかんないちゃん」と呼ばれている少女の中はいつも学校の校門へ着くと、大きなため息をつく。校舎をみあげると二階の窓から女の子が体をのりだして、いまにも飛び降りようとしているのだ。でも、目をつぶって二階をもう一度見ると窓はしまっている。ある日、犯罪研究に興味があるという仲良しの幼馴染のセンくんから、近所であやしい動きをしている人を見つけ、中も一緒に見張り調査をすることに。わからないことを抱えて生きる子ども達、大人達がそれぞれのいるべき場所と答えを探していく。装画は日本絵本賞、講談社出版文化賞、ブラチスラバ世界絵本原画展金牌、オランダ銀の石筆賞など受賞の酒井駒子氏。

著者紹介

岩瀬 成子 (イワセ ジョウコ)  
1950年山口県生まれ。1978年、『朝はだんだん見えてくる』で日本児童文学者協会新人賞、『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』で産経児童出版文化賞・小学館文学賞を受賞し、IBBYオナーリストに選出される。『ステゴザウルス』『迷い鳥とぶ』で路傍の石文学賞、2008年、『そのぬくもりはきえない』で日本児童文学者協会賞、2014年、『あたらしい子がきて』で野間児童文芸賞、2015年、『きみは知らないほうがいい』で産経児童出版文化賞大賞、2021年、『もうひとつの曲がり角』で坪田譲治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)