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盲目の梟

白水uブックス 257 海外小説永遠の本棚

出版社名 白水社
出版年月 2025年6月
ISBNコード 978-4-560-07257-8
4-560-07257-4
税込価格 2,090円
頁数・縦 346,4P 18cm

商品内容

要旨

「人生には徐々に孤独な魂をむしばんでいく潰瘍のような古傷がある」―生の核心に触れるような独白で始まる代表作の中篇「盲目の梟」。筆入れの蓋に絵を描くことを生業とする語り手の男が、心惹かれた黒衣の乙女の死体を切り刻みトランクに詰めて埋めにいくシュルレアリスム的な前半部と、同じ語り手と思しい男が病に臥しての「妻殺し」をリアリスティックに回想する後半部とが、阿片と酒精、強烈なペシミズムと絶望、執拗に反復されるモチーフと妄想によって複雑に絡み合う―。ドストエフスキーやカフカ、ポーといった西欧文学と、仏教のニルヴァーナ、イランの神秘主義といった東洋思想とが融合した瞠目すべき表題作と、さまざまな傾向をもつ9つの短篇に加え、古都への旅を綴った紀行文『エスファハーンは世界の半分』を収める。

出版社・メーカーコメント

世界文学の視座からも再評価著しいヘダーヤトの代表作を含む中短篇集。復刊にあたり、旅行記『エスファハーンは世界の半分』を併録。

著者紹介

ヘダーヤト,サーデク (ヘダーヤト,サーデク)   Hed ̄ayat,〓 ̄adeq
1903‐1951。1903年、イラン・テヘラン生まれ。テヘランの学校でヨーロッパ式の教育を受け、ベルギー、フランスへ遊学。イラン古来の伝統に深い関心を寄せる一方、ポーやカフカ、チェーホフなどの外国文学に傾倒、なかでもカフカについては自ら作品を(仏訳から)翻訳し、作品論を執筆している。1930年に第一短篇集『生埋め』を上梓し、以後短篇集『三滴の血』(32)、『明暗』(33)『野良犬』(42)、中篇小説『ハージー・アーガー』(45)などを刊行。インド滞在中に書き上げられた『盲目の梟』(37)は代表作として名高い。また、ハイヤーム『ルバイヤート』の小川亮作訳が底本とした選集を編んだことでも知られる。1951年に逗留先のパリでガス自殺を遂げた
中村 公則 (ナカムラ キミノリ)  
慶應義塾大学大学院博士課程修了(東洋史学)。2013年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)