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小説、この小さきもの

出版社名 朝日新聞出版
出版年月 2025年9月
ISBNコード 978-4-02-252079-1
4-02-252079-5
税込価格 2,640円
頁数・縦 360,10P 20cm

商品内容

要旨

なぜ私たちは小説に「共感」を求めるのか?翻訳という「体を張った読書」から散文文芸=小説の起源を探り、私たちが物語/キャラクターに没入するメカニズムを解き明かす。ギリシア・ローマ古典、聖書にはじまり、ウルフ、アーレント、アトウッドを経て、アマンダ・ゴーマン、市川沙央へ古典と現代、世界と日本をつなぐ本格文芸評論。書き下ろしコラム「文化盗用」「古典の浄化と読み直し」「市民検閲」を収録。

目次

第一部 小説、感情、孤独(詩と小説、色と光
小説、この小さきもの
近代化、孤独、小説)
第二部 神から遠く離れて―小説はいかに共感の器となり得たか(デーモンが世界を散文化する
散文、労働、翻訳
共感を担う話法
リレータブルという価値)
第三部 フィクションと当事者性―“真実”はだれに語る得るか?(リアリズムから読み解く共感
語り手から読み解く当事者性―人称と視点
フィクションでだれになにが書けるか?)
第四部 個人と包摂性、独立と連帯(咀嚼か窒息か
語りにおける回顧と模倣
What Are You Going Through?)

出版社・メーカーコメント

私たちは孤独ゆえに小説を生みだし、小説を読み書きするゆえに孤独を深めてきた−−。小説の本質とは何か。私たちはなぜ物語を必要とするのか。「共感性読書」の波が席巻する現在、小説という散文形式の発展、語り手の位相の変遷を読み解きながら、神なき時代の叙事詩である小説の起源を探り、フィクションの本質に迫る本格文芸評論。目次 はじめに第一部 小説、感情、孤独第一章 詩と小説、色と光 最も似ていない物真似、最も甚だしい錯覚 なにが詩で、なにが小説なのか? 詩人の小説、小説家の詩 あれもこれも奇妙なふるまい 小説、この新奇なもの第二章 小説、この小さきもの なぜ「小」説なのか? 『源氏物語』の現代小説性 物語と感情史の大革命−−アルファベットの登場 新たな声の誕生−−叙事から抒情へ 世界初のグローバリゼーション−−散文と孤独 大きな物語からの「辞退」−−レクサティオ 隠れた意図と女性視点の欠如 アルファベットの功罪第三章 近代化、孤独、小説 ロンリネスの醸成と感染力 ひとはいつから「寂しい」と言うようになったのか? 寂しんぼ時代の到来 なぜ近現代人はこんなに寂しがりなのか? 共感はなにに運ばれる? 大きな物語のなかの孤独 ロンリネスを逆手にとる コラム1 文化盗用第二部 神から遠く離れて−−小説はいかに共感の器となり得たか…

著者紹介

鴻巣 友季子 (コウノス ユキコ)  
1963年東京都生まれ。翻訳家、文芸評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)