• 本

文読む月日 中

ちくま文庫

出版社名 筑摩書房
出版年月 2004年1月
ISBNコード 978-4-480-03912-5
4-480-03912-0
税込価格 1,650円
頁数・縦 597P 15cm
シリーズ名 文読む月日

商品内容

要旨

1日を1章とし、1年366日、古今東西の聖賢の名言を、日々の心の糧となるよう、結集・結晶させた、一大「アンソロジー」。最晩年のトルストイが、序文だけでも100回以上の推敲を重ね、6年の歳月を費やし、心血を注いで完成させた。総勢170名にものぼる聖賢の名言の数々は、まさに「壮観」。トルストイ自身、「自分の著述は忘れ去られても、この書物だけは、きっと人びとの記憶に残るに違いない」と語り、臨終の数日前にも、娘タチヤーナに10月28日の章を読ませて、「みんないい、みんな簡潔でいい…、そうだ、そうだ…」と呟いたという。トルストイを敬愛してやまない訳者の「心訳」による、わが国初の完全訳。中巻は6月から9月までを収録。

目次

六月
七月
八月
九月

内容抜粋

本書「序文」より

本書はこの私が、数多くの著作や箴言集からさまざまの思想を収録したものである。署名のないものは、著者名の記されていない箴言集から取ったものか、あるいは私自身のものである。その他の言葉にはみな著者の署名があるが、残念なことにそれを収録する際、それがどんな著作から取られたかを明記しなかった。また私はしばしば、原書によってでなく、外国語訳から重訳したりしたので、私の翻訳は完全に原書に忠実でない点があるかもしれない。原作と完全には呼応しない箇所の存するもう一つの理由は、長い文章のなかから一つ一つの思想を選びだす際、私は印象の明白性と統一性とを求めて、若干の言葉や命題を省略し、ときにはある言葉を別の言葉に置き換えるばかりでなく、完全に私自身の言葉で表現せざるをえなかったことである。その理由はほかでもない。私が本書を世に問う目的は、原作者の言葉をそのままオウム返しに翻訳することではなくて、さまざまな著作者の偉大にして実り多き思想の恩恵を受けつつ、なるべく多数の読者によりよき思想と感情とを喚起せしめるような、手ごろな日々の読み物を提供することにあるからである。願わくば読者諸子が、日夕この書に親しむことによって、私自身がこの書の作成に当たって経験したような、さらには今なお日々これに親しむことによって、またよりよき第二版作成のための精進の過程において経験しつつあるような、崇高にして実り多き感情を経験されんことを。

著者紹介

トルストイ,レフ・ニコラエヴィチ (トルストイ,レフニコラエヴィチ)   Толст´ой,Лев Никол´аевич
1828‐1910。ロシアの作家、思想家。起伏の多い生涯を通して、ロシア正教会や政府と対立、権力や私有財産の否定、人類愛などを説くいわゆるトルストイ主義に到達。リアリズム小説の完成者であると同時に、実存主義の先駆者ともされる
北御門 二郎 (キタミカド ジロウ)  
1913年熊本県生まれ。旧制五高時代、トルストイ『人は何で生きるか』に感激。東大英文科を退学、徴兵拒否して、故郷の山里深くにこもり、農業を営むかたわら、トルストイの翻訳に没入。トルストイ代表作の完訳等の他に、著書『ある徴兵拒否者の歩み』などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)