• 本

最後の命

講談社文庫 な85−1

出版社名 講談社
出版年月 2010年7月
ISBNコード 978-4-06-276702-6
4-06-276702-3
税込価格 660円
頁数・縦 224P 15cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 心の闇を、目の前に突きつけてくるような作品

    書名には作者の強い想いが宿っていると信じています。読み進みながら、読み終わっても、「宿っている想い」は何だろうと考え続けて、想像できませんでした。読んで面白い本のレビューを心がけているつもりなので、余白の少ない文章と主人公である私の内面の独白は、少し重たいかなと感じていたのに、いつの間にか休憩時間もひたすら読んでしまいました。実は勤務時間中もですけど。
    人はちょっとしたことで解決できない闇を抱えて、同じ場所を旋回し続けたりします。それが心の病や反道徳的思考と、他人には認識されます。自分の内面の邪悪な部分を突き付けられている気がして、複雑な心境で読み進んでいるうちに、これが本当の人間の心ではないか、現代社会は、それを存在しないものとして扱っていないか、もしくは病んだ心や非道の人という括りで特殊な例として抹殺しているのではないかとも思えてきました。それにしても「最後の命」ってどういう意味、誰か教えて下さい。 (mogi)

    (2011年5月12日)

商品内容

要旨

最後に会ってから七年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。彼から「お前に会っておきたい」と唐突に連絡が入った。しかしその直後、私の部屋で一人の女が死んでいるのが発見される。疑われる私。部屋から検出される指紋。それは「指名手配中の容疑者」である。冴木のものだと告げられ―。

出版社・メーカーコメント

ロングセラー『掏摸』で大江健三郎賞受賞 注目度No.1作家の原点 「なあ、お前、本当は犯人じゃないんだろ?」 大人達によって世界が左右されたとしても。2人だけは生きていけるように。――秘密基地の合い言葉は「世界が終わる」。小学2年生のとき、そこで起こったある事件。その頃から、何かが「起こる」きっかけはいつも彼だった。 最後に会ってから7年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。彼から「お前に会っておきたい」と唐突に連絡が入った。しかしその直後、私の部屋で1人の女が死んでいるのが発見される。疑われる私。部屋から検出される指紋。それは「指名手配中の容疑者」である、冴木のものだと告げられ――。

著者紹介

中村 文則 (ナカムラ フミノリ)  
1977年、愛知県生まれ。福島大学卒業。2002年、『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。2004年、『遮光』で野間文芸新人賞を、2005年、『土の中の子供』で芥川賞を、2010年、『掏摸』で大江健三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)