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三島由紀夫作品に隠された自決への道

祥伝社新書 300

出版社名 祥伝社
出版年月 2012年11月
ISBNコード 978-4-396-11300-1
4-396-11300-5
税込価格 902円
頁数・縦 283P 18cm

商品内容

要旨

1970年11月25日、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決を遂げた三島由紀夫。その理由を巡っては様々な解釈が試みられてきたが、どれも十分とはいえない。それは表現者としての三島と、実行者としての三島との関連を解き明かしていないからである。だが、その答えは、生涯にわたる三島の作品の中にあった。戦後日本への期待を裏切られ、次第に批判を強めていくなかで、三島はさらに、もはや“神”ではなくなった昭和天皇を否認し、代わって自身を“神”としようとするに至った。『潮騒』から『豊饒の海』まで、一連の作品を読み解くことを通して、三島の自決への軌跡をダイナミックに浮かび上がらせる。

目次

第1章 三島の自決はどう捉えられてきたか―否定から共感へ
第2章 物語を動かす「他動的な力」―『潮騒』における日本回帰
第3章 「教育的」な放火―『金閣寺』と対米従属批判
第4章 不在の家長たち―『鏡子の家』と“天皇”の表象
第5章 現実への断念と彼岸への超出―『サド侯爵夫人』と戦後日本批判
第6章 「みやび」としてのテロリズム―二・二六事件と『春の雪』
第7章 世界を存在させる「流れ」とは―『豊饒の海』の転生とアーラヤ識
第8章 “神”となるための決起―『天人五衰』と一九七〇年十一月二十五日

おすすめコメント

1970年11月25日、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で自衛隊員への決起を呼びかけ、自決した三島。その動機には 1.ファナティックな右翼行動 2.ナルシスティックな美学の完結 3.警世の諌死――が挙げられている。3.の立場をとる著者は、「戦後の対米従属の中、自律性を失っていく日本への指弾」という主題が、『金閣寺』をはじめとする作品に描き込まれている、と指摘。さらに「人間宣言」で神の地位を降り、戦後日本の「象徴」となった天皇に代わり、みずから「神」となろうとしたという動機があった、と。本書では、この「警世の諌死」と「神への転生」を作品読解と評論等の言説から読み解き、決起・自死の理由を明らかにする。

出版社・メーカーコメント

天皇に代わって〈神〉になろうとした男の苛烈なるメッセージ なぜ決行は1970年11月25日だったのか?  三島が作品に込めた真の願いとは? 戦後日本にかけた大きな期待『潮騒』 対米従属への痛烈な批判『金閣寺』 家長不在となってしまった日本『鏡子の家』 何もしない国家と天皇への絶望『サド侯爵夫人』 自らが〈神〉となるための決起『豊饒の海』  ■戦後日本に対する死を賭(と)したメッセージ 1975年11月25日、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決を遂げた三島由紀夫。その理由を巡っては様々な解釈が試みられてきたが、どれも十分とはいえない。それは表現者としての三島と、実行者としての三島との関連を解き明かしていないからである。だが、その答えは、生涯にわたる三島の作品の中にあった。 戦後日本への期待を裏切られ、次第に批判を強めていくなかで、三島はさらに、もはや〈神〉ではなくなった昭和天皇を否認し、代わって自身を〈神〉としようとするに至った。『潮騒』から『豊饒の海』まで、一連の作品を読み解くことを通して、三島の自決への軌跡をダイナミックに浮かび上がらせる。

著者紹介

柴田 勝二 (シバタ ショウジ)  
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。博士(文学)。1956年生まれ。1986年、大阪大学文学研究科芸術学専攻単位取得退学。山口大学助教授などを経て現職。専門分野は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)