音楽祭の戦後史 結社とサロンをめぐる物語
出版社名 | 白水社 |
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出版年月 | 2015年9月 |
ISBNコード |
978-4-560-08459-5
(4-560-08459-9) |
税込価格 | 2,640円 |
頁数・縦 | 247,4P 20cm |
商品内容
要旨 |
戦後が生み出した“祭り”とその後。戦後民主主義が輝いていた時代に結社やサロンから生まれた音楽祭。大阪万博からバブルに至る大衆社会化のうねりの中で祝祭はいかなる変容を遂げたのか? |
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目次 |
序章 自分たちの祭り? |
おすすめコメント
前衛と祭りの相克 かつてバブル期に雨後の筍のように生まれた音楽祭――。「箱物行政」とセットで槍玉に挙げられるこの祭りは、単に「無駄遣い」として片付けていいものなのか? 本書は戦後という文脈に照らして再検討する試みである。戦後の音楽祭には〈サロン〉型と〈結社〉型の、二つの水脈がある。本書では、朝日新聞の村山未知を中心に始まったサロン型音楽祭である「大阪国際フェスティバル」と、吉田秀和や柴田南雄といった若き前衛によって同人的に始まった結社型の「現代音楽祭」を取り上げる。どちらも結社やサロンという、戦後民主主義の中核をなしたボランタリー・アソシエーションが主体となったものだが、戦後の大衆化していく状況下、当初の意図を超えて展開してゆくことになる。そこで浮き彫りになるのは、エリート(または前衛)が大衆とのせめぎ合いの中で、無意識に大衆と協調して幸福な時代を築いたかと思えば、時代がくだるにつれ、大衆と分極していく姿である。そういう意味で、音楽祭の戦後史は、社会運動の流れと軌を一にしており、それを辿ることは、戦後七十年を振り返るに等しい。著者渾身の書き下ろし!