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第三帝国

ボラーニョ・コレクション

出版社名 白水社
出版年月 2016年8月
ISBNコード 978-4-560-09267-5
4-560-09267-2
税込価格 3,960円
頁数・縦 404P 20cm

商品内容

要旨

遺稿から発見された異色の初期長篇。戦争ゲーム“第三帝国”のドイツ・チャンピオンがカタルーニャの海岸で過ごす奇妙な休暇。現実と虚構の狭間で、次第に得体の知れない恐怖にとらわれ、追い詰められていく…

おすすめコメント

遺稿から発見された初期の重要作 ウド・ベルガーはウォーゲーム(戦争ゲーム)のドイツ・チャンピオン。恋人のインゲボルクと初めてのバカンスを共に過ごすため、カタルーニャの海岸地方を訪れた。ここで第二次世界大戦をモデルにしたゲーム〈第三帝国〉の新たな戦法についての記事を書こうとしている。二人は近くのホテルに滞在中のドイツ人カップル、チャーリー(カール)とハンナと出会い、〈狼〉、〈子羊〉、〈火傷〉という地元の若者と知り合う。記事が捗らないまま日々が過ぎ、ある日、サーフィンの最中にチャーリーが行方不明になる。夏が終わりに近づくがチャーリーはいっこうに見つからず、ハンナ、そしてインゲボルクはドイツに帰国する。ウドはなおもホテルに留まり、ホテルのオーナー夫人、フラウ・エルゼに言い寄りながら、〈火傷〉を相手に〈第三帝国〉をプレイし続ける。ウド率いるドイツ軍の敗色が濃厚になるなか、現実を侵食しつつあるゲームの勝敗の行方は……。1989年に書かれた本書は、作家の遺稿の中から発見され、2010年に刊行された。日記風の体裁や、現実と虚構の中で得体の知れない暴力や恐怖に追い詰められていく点で、後年の『野生の探偵たち』や『2666』の要素を先取りする初期の重要作。

著者紹介

ボラーニョ,ロベルト (ボラーニョ,ロベルト)   Bola〓o,Roberto
1953年、チリのサンティアゴに生まれる。1968年、一家でメキシコに移住。1973年、チリに一時帰国し、ピノチェトによる軍事クーデターに遭遇したとされる。翌74年、メキシコへ戻る。その後、エルサルバドル、フランス、スペインなどを放浪。77年以降、およそ四半世紀にわたってスペインに居を定める。1984年に小説家としてデビュー。1997年に刊行された第一短篇集『通話』でサンティアゴ市文学賞を受賞。その後、精力的に作品を発表するが、2003年、50歳の若さで死去
柳原 孝敦 (ヤナギハラ タカアツ)  
1963年鹿児島県名瀬市(現・奄美市)生まれ。東京外国語大学大学院博士後期課程満期退学。博士(文学)。東京大学大学院人文社会系研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)