• 本

ムッシュー・パン

ボラーニョ・コレクション

出版社名 白水社
出版年月 2017年1月
ISBNコード 978-4-560-09268-2
4-560-09268-0
税込価格 2,530円
頁数・縦 194P 20cm

商品内容

要旨

1938年、パリ。第一次世界大戦の帰還兵である催眠術師ピエール・パンのもとに、貧しい南米人のしゃっくりを治してほしいという奇妙な依頼が舞い込む…ペルーの前衛詩人セサル・バジェホに捧ぐ、初期の忘れがたい中篇小説。

おすすめコメント

ボラーニョが愛した初期の中篇 1938年春、パリの病院で死の床につく貧しい南米人のしゃっくりを治してほしいという依頼がピエール・パンの元に持ち込まれる。第一次世界大戦の帰還兵でメスメリスムの信奉者であるパンは施術を行ない、再度患者の病室を訪ねようとするが、謎のスペイン人の2人組にことごとく阻まれ、面会は叶わない…… 隣国スペインで勃発した内戦の影、忍び寄る第二次世界大戦の気配、キュリー夫人の研究所といった同時代の社会背景が、作中に漂う不穏な空気を映し出す。巻末には『アメリカ大陸のナチ文学』を彷彿とさせる登場人物一覧と略歴を記したエピローグを収録。彼らの思いがけない人生の後日譚を読者は知ることになる。「作者による覚書」によると、当初『象の道』と題してスペインの地方文学賞に応募し、書籍化にあたり改稿、『ムッシュー・パン』と改題された本書は、ボラーニョにとって愛着を覚える一冊だったという。ちなみにこの「南米人」はペルー生まれの前衛詩人セサル・バジェホ(1892−1938)。本書はパリで客死したこの詩人に捧げるオマージュとして書かれた。元来詩人として出発したボラーニョの新たな魅力を知ることのできる初期の中篇小説。

著者紹介

ボラーニョ,ロベルト (ボラーニョ,ロベルト)   Bola〓o,Roberto
1953年、チリのサンティアゴに生まれる。1968年、一家でメキシコに移住。1973年、チリに一時帰国し、ピノチェトによる軍事クーデターに遭遇したとされる。翌74年、メキシコへ戻る。その後、エルサルバドル、フランス、スペインなどを放浪。77年以降、およそ四半世紀にわたってスペインに居を定める。1984年に小説家としてデビュー。1997年に刊行された第一短篇集『通話』でサンティアゴ市文学賞を受賞。2003年、50歳の若さで死去
松本 健二 (マツモト ケンジ)  
1968年生。大阪大学言語文化研究科准教授。ラテンアメリカ文学研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)