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許されて生きる 西田天香と一燈園の同人が下坐に生きた軌跡

出版社名 廣済堂出版
出版年月 2018年12月
ISBNコード 978-4-331-52203-5
4-331-52203-2
税込価格 1,870円
頁数・縦 413P 19cm

商品内容

目次

第1章 みなしごの卯一
第2章 産ぶ声を上げた新生涯
第3章 『光』誌を創刊
第4章 青春の彷徨
第5章 関東大震災と懺悔の祈り
第6章 満州に置かれた捨て石
第7章 奉天一燈園が開園
第8章 敗戦、そしてソ連の強制収容所
第9章 二百数十万人の引揚事業
第10章 日本の再建に向けた祈り

出版社・メーカーコメント

時代は明治も終わる頃。 日露戦争に勝利した日本は特需に沸き、国中が産業立国を目指し、 人々は立身出世の志気に沸いていました。 そんな中、静かに「自分とは何ぞや」と問いかけ、ひとつの生き方を見出した人、 それが西田天香でした。 「私は最近、すごい人物に出会いました。彼は人々の下坐に下りて懺悔奉仕し、 決して報酬を受け取らないのです。 なりはあたかも労働者風ですが、禅僧のように凛としています。 現代まれに見る、見上げた人物です。 彼の生き方を知って、私は拙書『病間録』をまだまだ甘く恥ずかしいと思い、 焼き捨てたいほどです」 思想家として有名な綱島梁川は、このように西田天香を評し、 早稲田大学教授の中桐確太郎や、『自殺論』で一世風靡した評論家の魚住影雄(折蘆)、 社会主義者の小田頼造や、当代一流の徳富蘆花などに、 西田天香の生き方を熱く語っていました。 「下坐に下りる」とは、人がやりたくないことを、自ら進んで行うことです。 天香さんは、家々を回って庭の掃除や便所掃除をし、 何も所有しない無一物所有の生き方を貫きました。 そんな彼の生き方に共感した人に、文学者の倉田百三、哲学者の和辻哲郎や西田幾太郎、 高名な寺の官長、大学の教授や経営者などなど、実に様々な人が教えを乞いに集りました。 そんな人たちの輪が大きくなり、京都に「一燈園」が生まれました。 戦争と関東大震災、そして終戦を経て、社会不安が蔓延しつつも復興に人々が立ち上がっていた時代、 静かに、謙虚に、自らを信じ、人々の愛の中で生きる天香さんの生き方は、 世の中に、もうひとつの大きなうねりを作っていったのです。 本書では、天香さんをはじめ、三上和志さんなど一燈園の同人たちの生き方が描かれています。 その生き方とは、「許されて生きる」ということ。 金品や名誉を追い求め、持てる者が強いという時代は、もう終わりを迎えようとしています。 これからは、持たざる者の豊かさを追求する時代です。 本書は、そのことに気づかれた人のためのものであり、 きっと深く心に響く1冊になるでしょう。

著者紹介

神渡 良平 (カミワタリ リョウヘイ)  
1948年鹿児島生まれ。九州大学医学部中退後、新聞記者、雑誌記者を経て独立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)