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矢部貞治 知識人と政治

中公選書 130

出版社名 中央公論新社
出版年月 2022年11月
ISBNコード 978-4-12-110131-0
4-12-110131-6
税込価格 1,760円
頁数・縦 274P 20cm

商品内容

要旨

矢部貞治は政治に直接コミットした最初の研究者の一人だ。ヒトラーが台頭する欧米に留学し政治の大きな変革を目撃した矢部は、東大法学部の政治学講座を担いつつ近衛文麿のブレーンとして昭和研究会に参加。現実政治での実践を試み、国内・国際新体制を立案する。敗戦後は拓大総長や憲法調査会などの政府委員を歴任しつつ、またメディアを通し政治の変革を求め続けた。本書は矢部の生涯を通し、日本における政治と知識人との関係を描く。

目次

第1章 デモクラシーのなかの立身出世―鳥取から東京へ
第2章 欧米での在外研究―一九三五年〜三七年の体験
第3章 日中戦争の勃発―危機と好機
第4章 昭和研究会への参加―近衛文麿のブレーンへ
第5章 「新体制」と大政翼賛会―議会制度への懐疑
第6章 「大東亜」戦争下の活動―海軍への接近と戦後構想
第7章 政治への再接近―「協同民主主義」の伝道師
第8章 未完の戦後―憲法調査会と選挙制度調査会

出版社・メーカーコメント

矢部貞治(1902〜67)は、蝋山正道と並び政治に直接コミットした初の研究者である。1926年に東大法学部に助手採用された矢部は、助教授時代の35〜37年にヒトラー擡頭下の欧米に留学、大きな政治の変革を見る。帰国後39年からは教授に就き政治学講座を担うなか首相として”全盛期”にあった近衛文麿のブレーンとして昭和研究会に参加。現実政治のなかで実践を試みる。それは新体制運動などの立案に反映されていく。 敗戦後は自らの責任を感じ東大を辞職。同志を集めて日本再建についての研究を始めた。50年代半ば以降は、拓大学長や早大教授などを歴任しつつ憲法調査会、選挙制度審議会など政府の審議会の副会長を務め、またメディアでも積極的に発言し現実政治に関わり続けようとした。 本書は矢部の生涯を通し、日本における政治と知識人の関係を描く。

著者紹介

井上 寿一 (イノウエ トシカズ)  
1956年東京都生まれ。86年一橋大学大学院法学研究科博士課程単位取得。法学博士。同助手を経て、89年より学習院大学法学部助教授。93年より学習院大学法学部政治学科教授。2014〜20年学習院大学学長。専攻・日本政治外交史、歴史政策論。著書に『危機のなかの協調外交』(山川出版社、1994年。第25回吉田茂賞受賞)他多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)