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里山の植物生態学

出版社名 全国農村教育協会
出版年月 2023年2月
ISBNコード 978-4-88137-203-6
4-88137-203-3
税込価格 2,200円
頁数・縦 131P 22cm

商品内容

目次

1章 里山の植物群落(群落の広がりと移り変わり
生態系としての里山)
2章 アカマツ林、コナラ林、ミズナラ林の植生地理(アカマツ林
コナラ属4種を優占種とする群落の組成)
3章 アカマツ林の生態とミズナラ林への遷移(アカマツ林の生態的特性
アカマツ林の物質生産 ほか)
4章 アカマツ林伐採跡地の植生回復とコナラ林への遷移(上田市付近のアカマツ林
コナラ属(コナラ、ミズナラ)林の地上部現存量の比較)
5章 コナラ林の生態系(里山の成長量
里山の利用)

出版社・メーカーコメント

今では生態学やエコロジーという言葉は当たり前のように使われていますが、このような用語や概念がまだ一般に定着していなかった時代から、生態学に関して先進的で粘り強い活動を行ってきた研究者たちがいることを忘れてはなりません。本書の著者のひとりである林は、2003年『植物生態学−基礎と応用−』(古今書院)を著し、長く植物生態学研究をリードしてきました。「里山」というと自然とのふれあいや癒しの場といったイメージだけが先行しがちな側面がありますが、身近な存在であるだけに、里山の実体をよりいっそう生態学的に観察し理解する必要があります。例えばどんな植物が群落を構成し、そのなかの何が優占し、さらにそれがどのように遷移していくのか…。また数量的な把握も大切です。単位面積当たりどの位の量の木材があり、1年にどの位成長するのか…草本と違って、成長の遅い樹木の成長はなかなかつかめません。著者らはアカマツ、コナラ、ミズナラなど里山に生育している樹種の直径を測定し続け、最も長いものでは31年に及びます。こうして蓄積されたデータから地上部現存量の年間増加量を計算し、里山にどの位の材木があるかを数量的にとらえます。数量化することの利点は、樹木は光合成によって二酸化炭素を蓄積しますから、年間、樹木がどの位の量の二酸化炭素を吸収するかが試算できることです。近年、地球規模で努力が行われている二酸化炭素の削減に、里山がどのように貢献できるのかが明らかになるのです。前書からおよそ20年、より具体的な実践方法について実験・研究を重ねてきた著者らによる、里山林の保護、保全、利用に関する最新の知見を集めた一冊です。SDGsが大きな話題になっているいま、里山に興味のある方、環境問題に関心のある方におすすめします。

著者紹介

加藤 順 (カトウ ジュン)  
1951年神奈川県生まれ。大阪市立大学・院修士卒業。専門、生態学。農学博士。所属、長野県佐久市昆虫体験学習館
林 一六 (ハヤシ イチロク)  
1939年長野県生まれ。東京教育大学(現筑波大学)・院修士卒業。専門、生態学。理学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)