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〈精神病〉の発明 クレペリンの光と闇

講談社選書メチエ 789

出版社名 講談社
出版年月 2023年8月
ISBNコード 978-4-06-533024-1
4-06-533024-6
税込価格 1,980円
頁数・縦 261P 19cm

商品内容

要旨

臓器と違って目には見えない精神の疾患を初めて分類・体系化し“精神病”を発明したエミール・クレペリン(一八五六‐一九二六年)。無意識を発見したフロイトと同じ年に生まれ、精神医学において、勝るとも劣らない大きな影響を残しながら彼の名前は忘却され、その分類と体系だけが所与であるかのように世界中で広く使用される診断マニュアルの土台となっている。しかし精神医学の歴史は、決して一本の道しかなかったわけではない。クレペリンの「発明」に秘められていた可能性とは何か―。精神医学誕生秘史!

目次

第1章 誕生と助走(一八五六‐九一年)(出立、精神医学への道
グッデン(一八二四年生)、ヴント(三二年生)とフレクシッヒ(四七年生)
『コンペンディウム』から『精神医学教科書』へ深化
カールバウムと就職問題、グッデンとの死別、ハイデルベルク学派の始祖に
冷徹な学者、研究の鬼、ユーモアも社交もない求道者
絵画芸術・音楽鑑賞・喜劇論者・詩人・庭の手入れ―南方大自然への憧憬)
第2章 創造と危機(一八九一‐一九一五年)(「三大内因性精神病」学説、根本思想
クレペリンの体系と満田久敏・安永浩・木村敏の癇癪論
ハイデルベルク創造高原に関する批判
南洋熱帯旅行(一九〇三−〇四年)、クレペリンの大いなる祝祭性
パラノイア問題)
第3章 静かなる浸透(一九一五‐二六年)(『精神病理学総論』(一九一三年)、ヤスパースにとってのクレペリン問題
症候群学説の方へ)
第4章 “精神医学”制作あるいは“精神病”発明の途上にて(一九二六‐八〇年)(「精神病の現象形態」論文(一九二〇年)
晩年から死の前後にかけて
わが国の精神医学への影響)

出版社・メーカーコメント

臓器と違って目には見えない精神の疾患を、はじめて分類・体系化し、〈精神病〉を発明したエミール・クレペリン(1856−1926年)。無意識を発見したフロイトと偶然にも同じ年に生まれ、フロイトと並んで現代精神医学の基礎を築きながら、その名は忘却され、彼が築いた分類と体系だけが、所与であるかのように、世界中で広く使用される診断マニュアルの土台となっている。冷酷非情である一方、純粋で情熱的な面もあわせ持つ複雑な人物の半生を辿り、葛藤と煩悶を繰り返して生み出された体系の功罪を描き出す。精神医学誕生秘史!

著者紹介

渡辺 哲夫 (ワタナベ テツオ)  
1949年、茨城県生まれ。東北大学医学部卒業(医学博士)。精神科医。専門は、精神病理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)